親の学び講座が開催されるのは保育所、学校、公民館、県の施設など各所にわたる。会の進行を担うのは役場の職員やPTA役員など身近な人々だ。私たちは今、無意識に、静かに保守派が望む価値観をすりこまれる危険と隣り合わせに暮らしている。

●DVは我慢すべき?

 思想が同じでも割り切れないこともある。冒頭の白須さんは日本会議東京中央支部の副支部長だが、最近、「女性蔑視」の発言が気になって仕方ない。

「多少のDVは我慢すべき、左翼の弁護士なんかに相談するとすぐにシェルターに連れていかれて離婚させられてしまうから絶対にダメだ、なんて言うんですよ。さすがにこれはひどい」

 祖父母や親子など“たての家族”を重視する日本会議では、離婚は悪になってしまうからだ。白須さんは、保守だからできる女性問題解決のやり方を今後は模索していきたいという。(編集部・竹下郁子)

※注1)日本会議
1997年に「日本を守る国民会議」と「日本を守る会」が合併してできた組織。47都道府県に地方組織があり、会員は約4万人。国旗国歌法制定、教育基本法改正、教科書問題などに取り組んできた。日本会議国会議員懇談会は、特別顧問の安倍晋三首相、麻生太郎財務相をはじめ、高市総務相、稲田防衛相、丸川珠代五輪相など閣僚も多く、約290人の議員が所属する。

※注2)憲法24条
1 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

※注3)日本女性の会
01年に日本会議の女性組織として結成。前会長は小野田町枝(初代・安西愛子)。夫婦別姓、男女共同参画に反対。桂由美は「夫婦別姓に反対し家族の絆を守る国民委員会」呼びかけ人。

※注4)自民党の日本国憲法改正草案
家族に関して新設された条項は、以下。
1 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。

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