西部邁、中島岳志の師弟対談 保守と右翼の間にある大きな違い

2017/04/24 16:00

●右翼も左翼も少数自負

中島:奇妙な「ねじれ」もあった。朝日新聞をはじめ、左派は「自分たちはマジョリティーじゃない」という意識がある。政権はずっと自民党で日本は保守の地盤が強く、自分たちはそれに抵抗している少数派だという自意識です。一方で、右派は自分たちの意見がメディアや教育、アカデミズムから排除されている、マイノリティーであり、誰もそれを代弁してくれないという意識があった。双方が「アンチの論理」でやりあったからぐちゃぐちゃになったんです。

西部:ネトウヨにはある種の反知性主義としか言いようのない、下品な言葉遣い、他人に対する誹謗中傷、罵詈雑言(ばりぞうごん)があるらしい。トランプ米大統領をはじめ、世界の指導者でもゴロツキがたくさん出てきた。でも、これは反社会的勢力のレトリックと同じなんです。たとえば、トランプ大統領は昨日と今日で言っていることが180度違う。それは、危機的状況を回避するときに反社会的勢力が得意とする、「俺たちは、場面場面でものを言っとるんじゃ」という態度と同じ。そういう人間は矛盾を指摘されてもまったく動じない。昔の保守政治家には、相矛盾した二つをギリギリつなげる微妙で繊細な語彙(ごい)、ユーモアがあった。今は、それもなくなり、ただの乱暴な言葉だけだ。

 一方で、左翼の論客の言葉だってネトウヨと同等に乱雑で、内容としては反知性的なオピニオン、つまり「根拠のない臆説」が増えている。右翼だけが反知性主義だというのは、朝日の偏見です(笑)。

中島:朝日を最も攻撃しているのも、また左翼です。ちょっとでも理想と違うと糾弾する。どっちもどっちです。

西部:われわれのような真の保守たらんとする者たちから見れば、勝手にやってくれということですよ(笑)。

(構成/編集部・作田裕史)

AERA 2017年5月1-8日合併号

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