保守の潮流に応じるように現政権は新たな判断を示した。政府は3月31日、教育勅語を学校教育で使うことについて、「勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導を行うことは不適切」とする一方、「憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」との答弁書を閣議決定した。

●不信感募る国会答弁

「森友問題」が浮き彫りにしつつあるのは、実体のない「権威」を前に沈黙を強いられる社会の息苦しさではないか。

 そのことを示すように、自らの非を一切認めず、「敵」を恫喝する政権側の強弁はますます顕著になっている。

 国会で昭恵夫人の証人喚問への対応を迫られた首相は即座に「必要ない」と断言。「日本の行政はまじめにやっている。全く忖度(そんたく)は働いていなかった」と昭恵氏の行動が国有地売却や学校認可に影響を与えなかったと強調するばかり。「一連の首相夫人の行動に軽率な点があったのではないか」と問われても、「これは籠池氏の責任だ」と自身や妻の責任を認めなかった。

 一方、菅義偉官房長官は籠池氏の「100万円寄付」証言をめぐって、偽証罪での刑事告発の可能性に言及。党総裁特別補佐の西村康稔衆院議員ら自民の3氏も、籠池氏の告発に向け、国政調査権の発動を求める考えを示した。
「籠池氏の証人喚問を見て、疑惑が晴れたり、籠池氏が一方的に嘘をついているという印象を持ったりした人はまずいないと思います」

 そう語る映画監督の森達也氏は、政権側の対応に憤る。

「もしも国政調査権を発動させるのなら、まずは財務省理財局の交渉記録を強制的に提出させるべきでしょう」

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