一時滞在施設となっている「GINZA KABUKIZA」の地下2階「木挽町広場」(撮影/写真部・加藤夏子)
一時滞在施設となっている「GINZA KABUKIZA」の地下2階「木挽町広場」(撮影/写真部・加藤夏子)

 東日本大震災、そして福島第一原発の事故から6年。地震からも、まもなく1年がたとうとしている。いずれの地でも復興は道半ばで、いまも多くの人々が不自由な暮らしを強いられている。しかしその現実の一方で、「風化」は確実に進んでいる。4大都市圏のハザードマップと不動産の値動きを重ねあわせると、「人気の街」の災害危険度がはっきりとあぶり出された。帰宅困難者対策には「東高西低」の傾向が見て取れた。AERA3月13日号は、6年後のいまだからわかったことも含め、「震災時代」を生きるために知っておくべきことを特集。

 大都市の地震で課題となるのは「帰宅困難者」。東日本大震災では、首都圏で515万人もの人が帰宅の足を奪われた。同様の混乱を招かないための対策は、どこまで進んだだろうか。

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 東京都490万人(首都直下地震)、大阪府150万人(南海トラフ巨大地震)、愛知県85万人(同)、福岡県45万人(警固断層地震)。「いつ起きても不思議ではない」とされる、大都市を襲う地震で発生するであろう帰宅困難者の数だ。

 特に多くの帰宅困難者であふれると想像されるのが、鉄道の駅。特にターミナル駅周辺だろう。東日本大震災では、池袋や新宿駅周辺が行き場をなくした人たちであふれ、JR東日本はシャッターを下ろして新宿駅などを封鎖した。事態は、都が抗議文を出す騒ぎに発展した。

 東日本大震災での東京都心の揺れは震度5強。首都直下地震での想定は震度6強。「その日」に同じことが繰り返されたら、混乱はさらに増す。

 そこで本誌は、関東のみならず中部、関西、九州の4大都市圏を走る主な鉄道会社・事業者27社に「災害時、帰宅困難者の一時滞在施設として駅を開放する予定があるか」「物資を備蓄しているか」などについてアンケートした。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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福井洋平

福井洋平

2001年朝日新聞社に入社。週刊朝日、青森総局、AERA、AERAムック教育、ジュニア編集部などを経て2023年「あさがくナビ」編集長に就任。「就活ニュースペーパー」で就活生の役に立つ情報を発信中。

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