でも、どんな人にも親はいます。介護の問題からは、誰も逃げられません。今と同じ働き方で、10年後、あなたは親の介護をどうするつもり? いえ、それは明日かも。

 2025年は、人口が減っていく中で団塊の世代が後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上となる時代が到来します。少ない働き手で高齢社会をどう支えるかという大問題が現実化するのです。

「多様な働き方の実現、ワーク・ライフ・バランスの重視」とは、子育て家庭だけの問題ではなく、2025年問題を見据えた急務。今のままでも困らないと思っているあなたも介護と仕事を両立させ、高齢になっても働き続けなくてはなりません。働き方改革は他人事ではないのです。

 働き盛りで人口の多い団塊ジュニア世代が声を上げないと、数年後に確実に自分の首を絞めることになります。変革のリミットはまさに、今。永遠の昭和を終わらせる、最後のチャンスです。

AERA 2017年1月16日号

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小島慶子

小島慶子

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。共著『足をどかしてくれませんか。』が発売中

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