10月末に都庁で開かれた学生向けイベントの座談会では、「都職員は合コンでもてるのか?」という質問が学生からあった(撮影/編集部・長倉克枝
10月末に都庁で開かれた学生向けイベントの座談会では、「都職員は合コンでもてるのか?」という質問が学生からあった(撮影/編集部・長倉克枝

「昼前に新幹線で上京、品川駅周辺でお見合い3件」

 地方在住の会社員女性のある日の予定だ。相手はすべて都職員。日帰りの強行スケジュールだが、背中を押すのは、「どうしても東京に住みたい。そのためには転勤がない都庁の人との結婚がベスト」という強い思いだ。

 都職員の男性は「婚活」市場で人気が高い──。そんな噂を聞いたが、実態はどうなのか。

 都内で結婚紹介事業を運営するアニバーサリー企画は、公務員お見合いパーティーを主催したところ人気のため、公務員限定の結婚紹介サービス「官公庁マリッジ」を立ち上げた。

「都職員の男性は、女性側が会社員・公務員問わず人気が高い。まず、地方への転勤がないこと、安定していること、そして都職員というブランドがその理由です」(代表の真央侑奈さん)

 会員の男性はすべて公務員で20代後半~40代が多い。女性は20~30代が中心で会社員と公務員の割合は3対7。家族が公務員で働き方を見た経験から、都職員を相手に望む、現実志向の人が多いという。地方に住む女性の場合、冒頭のような理由も少なくないそうだ。

 婚活で売り手市場の都職員男性。実際、比較的結婚が早く職場結婚も珍しくないので、市場に出回る“物件”自体、多くないようだ。

「まわりで婚活をしている人はいないですね。私も結婚していますし、まわりの職員も既婚者が多いです」(本庁勤務の20代男性都職員)

 昨年、大学時代の友人と結婚した本庁勤務の30代男性は、

「私も妻も実家が都内。双方の家族には、地方への転勤がないということが喜ばれました」

 と結婚の経緯を説明する。

「安定」「転勤がない(島しょ部などのぞく)」「ブランド」に加えて、「男性公務員は残業がない、家事や子育てをやってくれる家庭志向というイメージがあるようです」(前出の真央さん)という都職員との結婚。

 現実には「終電までに帰るのが目標」(都職員)という激務の部署も少なくない。だが、小池百合子知事は午後8時退庁目標を打ち出した。都職員の婚活市場でのさらなる・高値・につながるのかもしれない。(編集部・長倉克枝)

AERA 2016年11月14日号