時間が経って、地元を回る中で、人生の先輩に当たる50~60代の女性から「どの家庭にもいろいろあるのだから、簡単に離婚しちゃだめよ」とよく言われました。「たまたま日本中に恥ずかしいことが広まっただけで、負けちゃだめよ」とも。とてもありがたかったです。

 私は、一度や二度の過ちによって人生が終わってしまう社会ではいけないと思います。もっと寛容な社会であってほしい。本人が反省して生まれ変われるなら、私はその可能性を信じて応援したい。そう思い、宮崎の手を離さない決断をしました。

●離婚しないからこそ

――宮崎氏は2月に衆院議員を辞職した。金子氏も猛烈な逆風にさらされた。

 私の支援者の前で先輩議員から「我々の教育、しつけが悪かった。こんな議員を生んで申し訳ない」と言われたこともありました。そんな時、野田聖子議員や小渕優子議員、三原じゅん子議員といった先輩の女性議員に相談をしました。男性議員のなかにも、激励してくれる人もいました。

 地方議員時代、私は「お嬢ちゃん」と呼ばれることもありました。それが嫌で、「おじさん」議員になるよう自分を切り替えた。でも今は母親になって、逆に気楽になったような気がするんです。私は女性で、妻で、ママであるほうが、強さを出せるんじゃないかと。無理して男になろうとするより、自然体の「お母ちゃん」でいるほうが強くなれるのではと思っています。

 子育ては1人ではできない。今は両親が東京に来てくれ、宮崎もイクメンをしている。私も夜に帰宅して母乳で育てるなど、限られた時間でスキンシップを取るようにしています。

――かつてヒラリー氏も、夫であるビル・クリントン大統領(当時)の不倫騒動に巻き込まれた。

 ヒラリーさんは男勝りという方もいますが、ヒラリーさんの強さは、妻であり、母であり続けたからこそだと思っています。守るものがある人は強い。自分のためだけじゃないから。ヒラリーさんも(ビル氏を)手放していたら、今の強さはないと思う。私もそうありたいんです。等身大の自分で、これまで自民党からは届きにくかった、有権者のママさんたちと向き合いたいです。

――世界経済フォーラムが毎年発表する各国の男女格差で日本は今年、144カ国中111位だった。昨年の101位から順位を下げた。金子氏は8月、総務政務官に就任した。

 私が子育てしながら働き続けることに期待してくれる人もいる。子育てや介護をしながら仕事を続ける女性が大勢いる。そういった人たちの思いを受け、社会の環境を少しでも改善していくことが、私の責務だと改めて思っています。(構成/朝日新聞記者・石田耕一郎)

AERA 2016年11月14日号