CGとの合成シーンも多かった。難しかったのは、目印となるバツ印に向かって演じなければならなかったクライマックスシーン。この日、監督は2人とも、一切口を利いてくれなかった。5、6時間ピリピリした緊張感が続いたが、撮影が終わった途端、監督にポンポンと肩をたたかれたという。

「『頑張ったな』と声をかけられて『えー!?』。『このためにずっとしゃべらなかったんだよ』と。大事なシーンだったので、監督が張りつめた空気をつくってくださったんですね。すごく感動しました」

●自分の心を信じよう

 エンディングでかかる主題歌「BELIEVE」は、「いつかリリースしたい」とストックしていた曲をアレンジし、作詞と歌を担当。Bメロはハニーと同じように意志を持って「地声」で歌うことにこだわった。

「歌手として、自分の殻を破りたいという思いを込めました。何かをつかむためには何かを失ってしまうかもしれない。でも、失うからこそ大切なものに気づくことができるんですよね」

 恐れずに一歩踏み出そう、自分の心を一番に信じよう、という歌詞にはハニーと自分自身へのメッセージを込めた。

「みなさんのおかげでできた一曲。すごく思い入れのある曲になりました」

(フリーランス記者・坂口さゆり)

AERA 2016年10月3日号