【オプティム】ドローンのほか、「IT農業」をキーワードに遠隔操作を支援するウェアラブル端末などの新しい機器の開発を進めている(撮影/山口亜祐子)
【オプティム】
ドローンのほか、「IT農業」をキーワードに遠隔操作を支援するウェアラブル端末などの新しい機器の開発を進めている(撮影/山口亜祐子)
【トークノート】社内SNSツールとして、現在2万社以上が利用する。聖徳学園中・高では、ICT教育の一環としても使っている(撮影/写真部・岸本絢)
【トークノート】
社内SNSツールとして、現在2万社以上が利用する。聖徳学園中・高では、ICT教育の一環としても使っている(撮影/写真部・岸本絢)
【佐賀大学医学部附属病院】の申し込みもアプリの利用も無料。通常の診察券とは別に、希望する患者が必要書類に記入して専用窓口で申し込む(撮影/山口亜祐子)
【佐賀大学医学部附属病院】
の申し込みもアプリの利用も無料。通常の診察券とは別に、希望する患者が必要書類に記入して専用窓口で申し込む(撮影/山口亜祐子)

 教育現場では何かと評判の悪いSNSが、教員間のコミュニケーションを活性化する救世主に。農作業の負担軽減も、医療データの管理も、丸ごとアプリが実現する。

■教育■ SNSの活用で職員会議が一変した

 タブレットの画面に映るのは、夏休みで合宿中の演劇部の生徒たち。私立聖徳学園中学・高等学校(東京都武蔵野市)の伊藤正徳校長は、タイムラインの写真と文章に「いいね!」を押して、コメントも書き添えた。

 伊藤校長が手にしているのは、ビジネス用のSNSアプリ「トークノート」。企業内でのコミュニケーションや情報共有ツールとして使われている。

「いままでは、出張伺や報告書などの書類に目を通して学校の様子を把握することが少なくありませんでしたが、現場の動きがわかり、先生たちとのコミュニケーションが取りやすくなりました。情報をリアルタイムに把握できる。なくてはならないものになっています」(伊藤校長)

 事務作業や生活指導などの業務も抱える日本の先生たちは「世界一忙しい」とも言われる。聖徳学園中・高でも、以前は報告書などの書類が教職員の間を行き交い、授業内容や行事の相談のための会議や打ち合わせの調整に時間を取られていた。

●使うことで教えられる

 だが、その職員室の風景が、昨年12月にトークノートを導入して一変したという。職員会議の資料は、事前にSNS上に流す。事務連絡や報告はもちろん、教職員同士の情報共有にも使えるため、職員会議では事務連絡の時間が短くなり、新しい授業の事例紹介や質疑応答など、本来の教育指導に活用できる議論の場に変わったという。

 アプリ活用の場は職員室以外にも広がっている。たとえば保健室。これまで養護教諭は、生徒がやってくると担任教諭にメモを渡したり、授業が終わるのを待って説明したりしていたが、いまはトークノートのプッシュ通知を使って、どの生徒がどんな症状で訪れ、どう対処したかを伝えられるようになった。既読・未読もわかるため、該当する生徒のクラス担任がその情報を把握しているかどうかも確認でき、保健室を空けることが少なくなったという。

「授業中の場合は、職員室の机の上にメモを置くなどしていましたが、読んでもらえたかどうかが気になっていました。情報共有がとても楽になりました」

 と臼井花梨・養護教諭は話す。

 すでに生徒と先生、生徒同士の情報共有や対話ツールとしての運用も始まっており、今後は保護者に利用の輪を広げていくことも検討中だ。SNSは、教育現場ではネガティブに受け止められがちだが、

「先生たちが実際に活用することで、正しい使い方や交流のあり方を生徒に教えられる」

 と伊藤校長は考えている。

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