税金の課題もある。宮廷費、内廷費、皇族費ともに課税対象外だが、天皇家の私有財産である基金は課税対象だ。昭和天皇の逝去後、私有財産約18億円は約9億円ずつ香淳皇后と天皇に相続された。香淳皇后には配偶者控除が適用されたが、天皇は相続税として約4億円を納めている。

「生前退位の際、いわゆる家督も含めて当主である新天皇に引き継がれるなら贈与税の対象になり、崩御後の相続と比べて資産が目減りする可能性もある」(同)

 三種の神器など「皇位とともに伝わるべき由緒あるもの」を継承する上での問題もある。こうした由緒物については、相続税法12条に「課税されない」と明記されている「相続税の非課税財産」だが、贈与税にはその免除規定がない。

「三種の神器に贈与税がかかることは結果としてはあり得ません。相続税法改正の必要が出てきます」(同)

(アエラ編集部)

AERA 2016年9月12日号