具体的な金額を決める方法は二つ。一つが「原価計算方式」だ。すでに市販されている薬に似たものがないため、一から原価を積み上げて算定する。オプジーボはこれで計算された。

オプジーボは生きた細胞を使って遺伝子組み換えで作るため工程が複雑で原価が高く、1瓶で45万9778円。そこに、世界で初めて承認されたとして営業利益の率で標準(16.9%)に6割加算し、額では17万55円に設定。流通経費などを加え、約73万円に決まった。

 一方、すでに似た薬がある場合は、「類似薬効比較方式」を採る。1日に使う薬価を一致させるように決めるのが原則だが、加算もある。

 昨年3月に承認されたC型肝炎治療用の「ソバルディ」。ウイルス増殖を直接抑制する新規性に加え、インターフェロン治療のような副作用のリスクが低いとして「100%加算」。つまり、類似薬の倍額が認められた。さらに、欧米など海外との価格差も調整され、1錠(400ミリグラム)6万1799.30円に決まった。(ジャーナリスト・塚崎朝子)

AERA  2016年4月18日号より抜粋