親と離れて暮らすことになる場合は、帰省する交通費もかかる。親が要介護になれば、なおさら負担は大きい。目先の生活コストだけでなく、長期的なコスト感覚を持つことが大事だ。

 泉谷さんは移住後の生活費の目安として、「定年までの予想平均年収×就労年数」から「家賃1年分×平均余命」「教育費×子どもの人数」を引き、就労年数で割ったものを、1年の生活費と考えればいいと話す。たとえば、夫が30歳で子どもが2人、60歳までの平均年収が300万円、家賃が月3万円、子どもを大学まで進学させた場合の教育費が1人1500万円とすると、80歳まで生きた場合、1年の生活費は140万円となる。

「ただし、これは最低額。家の修繕費や医療費、老後に備えての貯蓄も必要です。どの地方でも年間300万円は確保できる収入が必要です」(泉谷さん)

(ライター・角田奈穂子)

AERA  2016年3月28日号より抜粋