コトリスラボは子どもの同伴出勤OK(撮影/編集部・鎌田倫子)
コトリスラボは子どもの同伴出勤OK(撮影/編集部・鎌田倫子)

 地方への移住を検討するとき、ネックになるのが仕事だ。就職先が少ない、起業も難しい……そんな時は、チームに加わるという手もある。

 小さく始めた事業を軌道に乗せようというときになると、地縁に頼れない移住者には不利だ。

「開業してすぐつまずいた。つてもないし、どうやって仕事を探すの?って」と1年前を振り返るのは、デザイナーの守野由紀子さん(34)だ。大阪で会社勤めをしたのち、夫の地元である静岡県伊豆の国市に移り住んだ。3、4年は専業主婦をしていたが、「もう一度デザインの仕事を」という思いが抑えられなくなった。

 夫にとってはUターンの静岡県も彼女にとってはIターン。知人も少なく、仕事を得るのに苦労した。クラウドサービスにも頼ったが、報酬は相場の数分の一。キャリアにはつながらない仕事ばかりだった。

「このままではだめになる」

 焦っていたときに偶然、子どもを持つ女性起業家のためのシェアオフィス「コトリスラボ」(三島市)の存在を知った。利用者は、東京や大阪といった都市部から結婚や出産を機に静岡へ移り、起業したクリエイターなど守野さんと似たような環境の人が多く、事業をいかに軌道に乗せて、持続させていくか、という同じ悩みを抱えていた。

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