「聖火台は日本の最先端の技術や演出力を世界にアピールする一番重要なポイント。聖火台をどうするかを考えるのは組織委の役割です」と力説。その上で、「本来、組織委のトップが明確なビジョンを出し、リーダーシップを発揮しないといけない。そうした自分の指導力を脇において、横から苦言を呈するような言い方はいかがなものか」と森会長を批判した。

 組織委は、東京五輪開催の決定後、招致委員会(会長・猪瀬前知事)を引き継ぎ、オールジャパン体制の中心となり大会準備や運営に当たる組織として14年1月に発足した。一方、新国立競技場建設の実施主体のJSCは文部科学省所管の独立行政法人だ。新国立競技場の建設に関してはさらに、旧計画の白紙撤回を受けて昨年7月に内閣官房に設置された整備計画再検討推進室がある。遠藤利明五輪担当相の下、JSCによる整備の進捗を点検する組織だ。

 JSCや東京都、組織委などでつくるワーキングチーム(議長・遠藤五輪担当相)が3月8日に発足、4月下旬をめどに聖火台の設置場所について「競技場の内か外か」を検討する方針を決めた。政治判断によって「火消し」を図ったとみられるが、この事務局を務めるのが先の推進室だ。推進室では、セレモニーの内容は五輪開会の2、3年前に検討を開始するのが通例と組織委から聞いており、聖火台の設置場所を含む議論は今後検討していく課題として整理されていたという。

 猪瀬氏は、五輪の組織体系について、「縦割りの弊害は否めないが、縦割りだからこそ、上位にある組織委員会が常に関係団体と意思疎通を図り、全体を動かしていかないといけない」と唱える。同時に、遠藤五輪担当相についても、「縦割り組織の意思疎通を図る潤滑油の役割に徹するべきだが、コーディネーターの務めを十分果たせているとは言えない」 と機能不全の要因に挙げる。(アエラ編集部)

AERA  2016年3月28日号より抜粋