ひるがえって筋肉食堂。前述したように来店客の多くは男性で、人気メニューは「皮なし鶏もも肉のステーキ」に「鶏ムネ肉のステーキ」、「牛リブロースステーキ」など肉、肉、肉。全てのメニューに添えられたカロリー、タンパク質、脂質、糖質の数値を見ると、先の鶏肉メニュー2種はいずれも、高タンパクで低脂質、糖質ゼロで、200キロカロリー台前半だ。牛肉だって500キロカロリーを切っている。

 筋肉が、トレーニング後の身体にタンパク質を与えることでつくられることは知られている。筋肉食堂は、都内でも有数のジム激戦エリア・六本木で、これを実践しようとしているのだ。

 店長の谷川俊平さん(32)は、著名人の肉体改造をサポートしたことで知られるジム「トータル・ワークアウト」のパーソナルトレーナー出身。

「一過性の人気にはしたくない」という谷川店長の言葉通り、常連客も増えてきた。六本木で仕事があり、立ち寄ったという会社経営者の男性(35)も、「SNSで知りました。週6日でトレーニングしています。鶏ムネ肉400グラムのセットを食べましたが、腹八分目でちょうどいい。また来たい」

 女性客もポツポツと足を運ぶ。20代と30代の女性2人組は、初めて来店。男性らとおなじ400グラムの鶏ムネ肉ステーキをぺろりと平らげ、定番の掛け声「ありがとうございマッスル!」に見送られながら、仕事に戻っていった。

AERA 2016年2月8日号より抜粋