昨年、米グーグルが発表したリポートによれば、映画の脚本を学習させると、言葉の選び方や語尾が「それっぽく」なる結果も出ている。

 AIと恋愛。そもそも、社会的に必要なのかどうかの議論はともかく、技術的には、かなりいい線のモノができるところまで来ているのかもしれない。

 ところが、恋愛の先には喜びや、場合によっては嫉妬の気持ちまで存在する。AIが人間並みにそこまでたどり着き、表現するまでには、はるか長い道のりが待っている。

 なぜか。松尾さんは、「人間は社会的な動物だから」と言う。

 社会的なつながりのなかで、自己を発見し、また他者に働きかけることで達成感を得る。このことを、長い長い進化のプロセスを経て、人間は獲得したのだ。AIには、まだ早い。

AERA  2016年1月11日号より抜粋