神谷明日香さん(12)特許権者かみや・あすか/2003年生まれ。ゴミ箱は水玉のマスキングテープで縁どられている。「テープを貼っているときは楽しかった。1本、まるまる使っちゃいました」(撮影/今村拓馬)
神谷明日香さん(12)
特許権者
かみや・あすか/2003年生まれ。ゴミ箱は水玉のマスキングテープで縁どられている。「テープを貼っているときは楽しかった。1本、まるまる使っちゃいました」(撮影/今村拓馬)

 今夏、小学生の女の子が特許を取得した。缶を投入すると、内部でアルミ缶とスチール缶が分別されるという、あるようでなかった高機能のゴミ箱。愛知県安城市立丈山小学校6年生の神谷明日香さん(12)が5年生の自由研究で作った。

 小学生が特許を取る事例は全国的にも珍しい。取材も殺到したが、当初は、

「質問されるたび、そばに座る私を見て、困ったように笑っていました」(小田健二校長)

 突如として「発明家」の肩書を持った明日香さんだが、実は「理科」は得意ではないという。ただ、実験だけは大好き。3年生のときに授業で行った実験が、今回の発明を生んだ。

 明日香さんの祖父は、自宅の1階でスーパーを営んでいる。ゴミ箱に捨てられた缶を、種類ごとに分ける。そんな祖父を見て思いついた。

「スチール缶は磁石にくっつき、アルミ缶はくっつかないという実験をした。これを使って、ゴミ箱を作ればいいと考えました」

 ただ、いまの形に至るには、さらなる実験が必要だった。

 例えば、ゴミ箱の形。現在は上から缶を投入できる細長い形をしているが、1作目は正方形に近く、2作目は筒のような形だった。缶を投入したときに、種類に応じてうまく分岐する形を探り、3作目で現在の形になった。

次のページ