答えのない試行錯誤を、面白がって続けられるのが明日香さんの強みだ。それを邪魔せず、むしろ壁にぶち当たったときに手を差し伸べる存在も必要になる。明日香さんの場合、伴走者は父だった。

 例えば、ゴミ箱を作っていく過程で一つの問題があった。投入された缶は、磁石に反応するかどうかでスチールとアルミに分類されるが、実際に缶を投入すると、スチール缶が磁石にくっついたままで落ちない。それに悩んでいた。

 明日香さんが定規の先に磁石をつけ、スチール缶をくっつけて遊んでいたとき、ある缶がぴょんと曲がって落ちたことに父が注目。ここにヒントがあるかも、と提案した。

 磁石のそばに弁のようなものをつけてはどうか、その弁は何センチが適当か……。次の実験が始まった。他の宿題をしながらも、さまざまな実験にチャレンジすること約1カ月。夏休みの最後の週にやっと、作品が完成した。

「おじいちゃんに見せると、『スゴイね、よくやったね』と褒めてくれました」

AERA  2015年12月14日号より抜粋