徳田雄人さんとくだ・たけひと/スマートエイジング代表。2013年に「認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ(DFJI)」を設立。企業・行政との協働事業を行う(写真:本人提供)
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徳田雄人さん
とくだ・たけひと/スマートエイジング代表。2013年に「認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ(DFJI)」を設立。企業・行政との協働事業を行う(写真:本人提供)

 10年後、認知症の高齢者は700万人に達するといわれる。当事者たちとの関わり方について、考えるときがきているようだ。「認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ(DFJI)」を立ち上げた徳田雄人さんは、今後の社会について次のように話す。

* * *
 認知症の人を医療や介護の対象としてとらえず、高齢社会の人と人との関わり方、社会のデザインの問題として考えよう。社会全体で支えていこう。日本でも、そんなムーブメントが始まっています。

 でも現状は、実際に当事者と関わったことがある人は、ごくわずか。見たことがないものに対する恐怖心みたいなものが、社会を覆っています。

 当事者として名前を公表して声をあげる人も、ポツポツと出てきました。ただ、自分で力強く発信できる人ばかりではない。意見もいろいろ。それぞれの「こうしたい」もいろいろ。だから、喫茶店とか、まちなかの小さなふれあいの場で、何でもないような「日常の」コミュニケーションがどんどん生まれればいいと思っています。気づきを持ち帰ったまわりの人が考えて、自分なりに行動してみる。その総和で社会が動く。

 圧倒的にいまの社会に欠けていると思うのは、「自分だって認知症になる」という視点です。高齢になれば誰もが認知症になる可能性はある。「自分事」として捉えてみると、新しい視点が生まれてきます。自分の困り事と共通項を見いだしたり、目の前の人が自分の延長線上にある存在に見えてきたり、なだらかに理解が深まるんじゃないかと。

AERA  2015年11月2日号より抜粋