「転職を結婚に例えると、通常の応募はお見合いのようなもの。企業訪問はお互いのことを知るためのデートと位置づけています」(同社で事業開発を担当する大塚早葉さん)

 クックパッドは、おもにエンジニア職の採用で2年ほど前からウォンテッドリーを採用ツールのひとつとして使っている。

「あまり構えず、カジュアルに接点を持てるので、実際の選考に入るときもお互いをある程度理解したうえで進めることができる。双方にミスマッチが少なく済むという利点があります」(クックパッドの人事担当・水島瑛美さん)

 訪問する側にも、応募前に会社の雰囲気を知ることができるのは大きなメリットだ。

 デザイナーの男性(30)は、あるベンチャーを訪問したことがあるが、若すぎる社員たちの言動に不安がよぎった。「ベンチャーだから対応や礼儀がなっていなくてもいい、っていうのは違う」と思い、応募しなかった。

 興味を持ったらまずつながる。選考という過程に進むかどうかは次のステップの話。選ぶ権利はこちらにもある。フットワーク軽く次の居場所を探してまわる感覚が、なんとも「つながりの時代」の転職活動っぽい。

AERA 2015年10月26日号より抜粋