
洋服なんてたくさんあっても時間のムダ。そう言うミニマリストだって、仕事着は捨て切れない。限られた選択肢でどれだけ誠実に、知的に見せるか。究極のコーディネート術を披露しよう。
スーツの場合はアイテムが少ないとコーディネートに困りそうだが、「全身を無地(ソリッド)でまとめる」方法がある。
スーツやシャツ、タイには、ストライプからチェックまでさまざまな柄がある。これらはおしゃれ感を加える力もあるが、その分、全身の組み合わせで考える時間も増える。
だから、あえて選択肢に入れないのだ。スーツとタイをワントーン(単色)でまとめれば、精悍な印象も与えられる。
映画「007 スカイフォール」の冒頭で主演のダニエル・クレイグが着ていたスーツも、ライトグレーのスーツを無地ワントーンでまとめたものだ。厳密にはスーツやタイに淡い柄が入ってはいるが、遠目にはワントーンにしか見えない。柄や色がなくても、つまらなくなるわけではない。そのことをよく表した着こなしだ。
近年、仕事着をめぐる環境は多様化している。最たるものがIT業。ベンチャー系のIT企業では、もはや襟つきのシャツさえ着ないことが当たり前。さらには、パジャマにしか見えない装いで、コンピューターにコードを打ち込む姿もよく見かける。
彼らがモデルケースにしているのはスティーブ・ジョブズであり、マーク・ザッカーバーグだろう。ジョブズは、イッセイミヤケの黒いタートルネックにリーバイスのデニム。ザッカーバーグは、グレーのTシャツにデニムが定番だ。
だが、彼らは世界に君臨するロックスターのようなもの。洋服をシチュエーションに合わせる必要はない。一方、大半の働き手は相手と関係を結んで、信頼を獲得しなければならない。これが自分のスタイルです、なんて主張しても、最初から受け入れてくれる人なんて、いないのだから。