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L.A.並み家賃どう支払う「都会で老いる」ことのリスク

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住宅・土地のローンを最も多く抱えている地域は神奈川県。全国平均より162万円高い、520万8千円(全国消費実態調査、2009年)(撮影/写真部・東川哲也)

住宅・土地のローンを最も多く抱えている地域は神奈川県。全国平均より162万円高い、520万8千円(全国消費実態調査、2009年)(撮影/写真部・東川哲也)

 東京都心で暮らすには、何かとお金がかかる。年齢を重ねると、それは大きなリスクとなり得る。

 生活困窮者を支援するNPO法人ほっとプラスの代表理事で、『下流老人』(朝日新書)の著書がある藤田孝典さんは、都会で老いるリスクについて、こう指摘する。

「第一に家賃が圧倒的に高い。この水準はスペインのマドリードとアメリカのロサンゼルス、東京ぐらいでしょう。生活困窮者でもなかなか公営住宅に入れず、普通なら払えないような住宅ローンを払って家を持つという、まれな国に私たちは住んでいるのです」

 藤田さんによると、海外では「家は生活の基盤であり国が保障するものだ」という考え方が浸透していて、特にフランスでは全住宅の20%を公営住宅が占める。大統領選のマニフェストに公営住宅の新規整備戸数が盛り込まれるほどだ。

 一方、日本では家を「個人が獲得すべき財産」と考える傾向が強く、公的な支援はほとんどないのが現実。なかでも東京の住居費相場は突出している。

 賃貸価格は東京が全国平均の倍。マンション購入価格は全国平均より907万円、土地付き注文住宅は1660万円も高くなっている。住宅ローンを払い終えても、マンションなら管理費のほかに、年々高くなっていく修繕積立金は毎月負担し続けなければならない。バリアフリー化が必要になった時のために、リフォーム費も用意しておきたいところだ。

 一戸建ての場合は、自分たちで修繕費を蓄えておく必要があるのだが、当然のことながら年を重ねるにつれて、蓄えは減っていく。藤田さんが訪れた埼玉県の一戸建て住宅は、ネズミが駆け回り、隙間風が抜ける状態だった。72歳の女性が夫(82)を介護しながら、月13万円の年金収入で暮らしていた。

 2人の子どもを育てた5LDK、2階建て、築40年の家は、1階の和室の床が抜け、コンクリートの基礎が見えていた。割れた窓ガラスには段ボール。女性によると、リフォームには2千万円近く必要だと言われたらしい。到底、払えない金額だ。

「資産価値のあるうちにダウンサイジングして住み替えるべきなのですが、初期費用を工面できなかったり家族の思い出があったりして、持ち家を手放せない人は多い」(藤田さん)

 マンションの場合でも事態は深刻だ。NPO法人全国マンション管理組合連合会の川上湛永会長は、都内のマンション住人の高齢化を危惧している。

「国内のマンション613万戸のうち、4分の1が東京に集中している。その多くはバブル崩壊前に建てられ、30年以上がたった高経年マンション。経済が下向きになる中で住み替えが進まず、住人が高齢化している。高経年マンションの住人の半分以上は、年金生活者になっているのではないか」

 さらに、70歳を過ぎると一人暮らしが増え、年金が減って管理費や修繕積立金が払えなくなるリスクが高い。川上さんによると、3割のマンションは恒常的に、滞納問題を抱えているという。

AERA 2015年9月14日号より抜粋


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