日経平均株価は4月に15年ぶりの2万円台をつけて以降、高い水準を維持する。少額投資非課税制度「NISA(ニーサ)」も追い風となり、投資への感心が高まっている(撮影/今村拓馬)
<br />
日経平均株価は4月に15年ぶりの2万円台をつけて以降、高い水準を維持する。少額投資非課税制度「NISA(ニーサ)」も追い風となり、投資への感心が高まっている(撮影/今村拓馬)

 日経平均株価が2万円の大台を回復し、株価の動向に一喜一憂、夢の一獲千金に思いをはせる人は多いことだろう。ただ、「そろそろ天井なんじゃないの?」といぶかり、石橋をたたいても渡らぬそこのアナタ。ひょっとしたら、その判断は正しいのかもしれない。

「デイトレードで短期に大儲けしたという話がよくありますが、100人がやっても95人は敗残します。人気株狙いやデイトレードは、いわばバクチ。バクチでは、素人ではなくプロが勝つんです」

 そう話すのは、仏証券大手ソシエテ・ジェネラルの元ストラテジストで、NPO「日本個人投資家協会」理事の木村喜由氏だ。どういうことなのか。

「ふつうの投資家に『いい情報』が入ってきても、すでにプロが先回りをしている。株価は華々しく上がった後です。デイトレは、素人には危険な株取引です。負けますよ」

 後れをとるのは情報収集だけではない。生損保、年金基金などの機関投資家や投資ファンドが株式の売買注文に使うシステムの動きは、とにかく速い。注文を受けてから受付通知を出すまでの応答時間は、東京証券取引所のシステム「アローヘッド」で千分の1秒。号砲でスタートを切るウサイン・ボルト選手も、まだスタートラインでかがんだままだ。

 さらに、人によっては株投資に「不向きなタイプ」がいる。木村氏によると、株投資で損をする人の共通点は、「短期間で儲けたい」「急騰中の人気銘柄で儲けたい」「勉強せずに儲けたい」という甘い考えを持っていることだ。「投資の神様」として知られる米国の投資家ウォーレン・バフェット氏は、これらの全てにおいて、逆のことをしているのだという。そこに株投資初心者が儲けるヒントが隠されている。短期決戦では不利でも、中長期の売買差益を狙うのであれば、勝負の余地がありそうなのだ。

 デイトレなどの短期売買では、世の中の出来事や景気、経営判断など、日々変化する「動的な情報」を判断材料とする。一方、長丁場の投資は長期保有し、変動した時に売買差益を得るスタイルだ。そうなると、稼げる素質を持ちながら、割安な株価のままの企業を見つけ出すことが、最重要になってくる。

AERA 2015年6月29日号より抜粋