どうしたら選手たちがやる気を出し、自分で考えて動くようになるのか。箱根駅伝で大金星を挙げた青山学院大学では、こんな方法を実践していた。
今年の箱根駅伝で初優勝した青山学院大学。監督の原晋(すすむ)さん(48)は、その名も「ワクワク大作戦」を指導に取り入れる。
優勝候補に挙げられたことで過度な緊張感が生まれたチームの空気を変えたくて思いついたそうだ。そもそも「◯◯大作戦」とネーミングするのが大好き。箱根以外の時にも、「駒大の独走はダメよ~ダメダメ大作戦」など数知れず。選手の失笑を買うことも多く、「中身は大した内容じゃない」(原さん)が、この作戦がチームに劇的な効果をもたらした。
リラックスした空気づくりに役立つこの作戦は、長距離走の印象を変えた。どの選手も明るい。笑顔で走り切った者もいた。
ランナーとしてエリートではなかった原さんがチームを優勝に導いたノウハウは、サラリーマン時代に培ったものだという。
「新規事業立ち上げのために働いた6年間が特に大きかった。ベンチャービジネスに過去の常識は通用しない。陸上部の監督もベンチャーだと思ってやったら、組織が主体的になった」
監督に就任したばかりの頃、練習の遅刻、門限破りは当たり前。競技への意識が低かった。やる気を引き出すために三つのことを心掛けた。一つ目は、萎縮させず、寛容になること。
「学生がやろうとすることに対し基本的に賛同する。ダメと頭ごなしに言われると意欲をなくすでしょ。そして、自主的にやったことをほめる」
二つ目は、コミュニケーションを一方通行にしないこと。