DTT経営の居酒屋「エビスコ酒場」(東京・新宿)。初めはとまどいもあった」という店長兼レスラーのKUDOさん(右)。今は逆にお客さんから力をもらっているという(撮影/今祥雄)
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DTT経営の居酒屋「エビスコ酒場」(東京・新宿)。初めはとまどいもあった」という店長兼レスラーのKUDOさん(右)。今は逆にお客さんから力をもらっているという(撮影/今祥雄)

 女性ファンを中心に、プロレスが盛り上がりをみせている。現在のプロレスシーン、特に新日本プロレスの隆盛の背後には、ビジネス環境の整備があった。

「ワールドプロレスリング」を放送するテレビ朝日は、地上波以外にコンテンツビジネスでも積極的に新日本プロレスとタッグを組んでいる。サイバーエージェントのウェブコミュニティーサービス・アメーバピグでの「プロレス広場」の成功、DVDパートワーク「燃えろ!新日本プロレス」は68巻、通算180万部突破という大ヒット作に。その他、3D劇場映画の上映も定着してきた。

「ワールドプロレスリング」のプロデューサーを11年つとめ、現在はビジネス戦略部企画担当部長の篠原弘光さん(46)は語る。

「地上波で四十数年やってきた素材の蓄積があったからこそできたビジネス。歴代の制作者が残してくれた財産をうまく使おうと。これだけすごいことをやっている選手がいる。これをもっと世に届けたいという思いでした」

 プロレス団体も、一般興行以外のビジネスを手がけている。DDTプロレスリングは、ストレッチ専門店、スポーツバー、居酒屋を経営。所属選手が働いているが、これはレスラーの生活保障や引退後のセカンドキャリアといった問題に向き合うなかで生まれたビジネスだ。

 DDTの広報担当、今林久弥さん(42)は言う。

「選手は欠場すると収入がなくなる。欠場中の選手が働けるようにとの思いから始めました。もちろん、引退後役に立つようにという考えもあります」

 DDTは「プロレス興行パッケージプラン」として、結婚式や学園祭などに出張するパックプランを用意している。結婚式であれば選手4人1試合、所要時間20分前後で平日であれば30万円(税別)から。これまで書店や鉄工所など、通常のプロレス会場以外で興行を行っているDDTらしいビジネスだ。

AERA  2014年12月22日号より抜粋