NHK連続テレビ小説「マッサン」でヒロイン・エリーを演じているシャーロット・ケイト・フォックス。「朝ドラ」初の海外オーディションで大抜擢、日本語ができないまま米国から来日した。異国の地で奮闘するエリーと重なる本人の実像とは。

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──アメリカではアルバイトしながら舞台に立っていたとか。

シャーロット:この世界でやっていけるよう頑張っていました。でも俳優の生活は不安定です。オーディションの募集を見て「わぁ、すごい。まれな人生を送った女性の一生を日本で撮影するなんて」と思いましたが、一日放っておき、仕事探しに行きました。が、また雑誌でその募集を見たんです。「シャーロット、勇気を出せ!」。応募し、また仕事へ。芸術性や夢、生活や仕事、二つの世界を生きるのも好きです。

──日本の「朝ドラ」についてはどう思っていましたか?

シャーロット:オンラインで見たけれど、どれほどの重みと人気がある番組かはわかっていませんでした。

 初日か2日目、撮影が深夜に及んだのです。私は疲れきっていて、膨大な日本語のセリフ、そしてみんなが話していることがまるっきりわからないので、打ちのめされてしまいました。階段で「何てことになっちゃったんだろう。何てところに来てしまったんだろう」と泣いたのを覚えています。たくさんのサポートのおかげで今は慣れましたが、最初はすごく大変でした。

──膨大な日本語のセリフはどうやって覚えているんですか?

シャーロット:まず、一つ一つの単語がどういう意味なのかを覚えなければなりません。次にセンテンスがどういう作りになっているのか。そのあと発音を学びます。またパートナーのセリフも覚えます。相手が何を言っているかわからないと、反応できないので。

 本当のところ、自分でもどう覚えているのかわかりません。収録の合間のわずかな時間も活用しています。覚えるのは早朝がベストです。毎朝、支度する1時間前に起き、覚えています。

AERA 2014年12月29日―2015年1月5日合併号より抜粋