ある年の29日、家族3人でハワイを訪れたいという人が来店した。出発希望日は1月2日。目前に迫っていたが、航空便とホテルをオプション付きで手配した。旅費は約70万円だった。

 またある年は、30日に30代ビジネスマンが訪れた。「急な休みが取れたから、今すぐ出国したい」という。翌日出発するソウル1泊2日の旅を手配した。宿泊はラグジュアリーホテルのスイートルーム。旅費は航空券を含めて約15万円だった。

「希望に沿う形で代案を提案しますから、どこにも行けないことはありません」(沖杉さん)

 さすがプロだ!

 でも、ちょっと高すぎる。何とか手頃な値段で旅行できないものか。「ワガママを言ってすみませんが……」と、恐る恐る冒頭の渡辺さんに聞いてみた。すると、直前に海外に行きたくなったときの“便利サイト”を教えてくれた。

「ツアーなら、『トラベルコちゃん』。掲載商品が多く、更新頻度も高め。『ファイナルコール』という直前出発用の枠に、掘り出し物が見つかることもあります。航空券は国内なら『エアーズゲート』、国外なら『スカイスキャナー』が便利です。設定日の最安値の航空券が検索できます」

「エクスペディア」「Hotels.com」「DeNAトラベル」などでも検索できるという。

●お得なぷらっとこだま

 では、国内旅行はどうか。鉄道ライターの杉山淳一さんは、こんなアドバイスをくれた。

「JRの予約は原則1カ月前からなので、飛行機より断然取りやすい。私は『ぷらっとこだま』をよく使います。割安でグリーン車にも乗れます。快適ですよ」

 JR東海ツアーズが販売する「ぷらっとこだま」は、新幹線「こだま」の乗車券・特急券を割安で買える。年末年始の繁忙期でも、東京―名古屋間が片道9300円、東京―新大阪間が同1万1800円だ。グリーン車にグレードアップしても、それぞれ1万300円と1万3300円。時間はかかるが、車窓の旅を楽しむなら断然お得だ。

 ただし、年末年始は、売り切れも早いという。やはり今からでは無理か、と肩を落とすと、耳より情報を教えてくれた。

「例年、JR東海が元日限定でこだま乗り放題の『新春こだま&ワイドビューフリーきっぷ』を販売していました」

 大人1万3千円、子ども3千円。自由席限定だが、元日は多くの列車が空いていて、「存分に旅を楽しめた」というが、過去形の言葉が気になる。

「残念ながら、来年分は発売されないそうです。ですが、『ぷらっとこだま』なら、元日のグリーン車など、日や条件によって空きがあるかもしれません。会員制ネット予約サービスの『エクスプレス予約』と『プラスEX』限定ですが、『こだま☆楽旅IC早特』というこだまのグリーン車のチケットは、東京―新大阪間で9500円。かなり格安な上、年末年始も使えます」

 もちろん「空きがあれば」の話だが、チャレンジしてみる価値はありそうだ。

●1月3日からガクン

 宿はどうなのか。

 旅行会社勤務の経験があり、旅館に詳しいマーケティングプランナー、井門隆夫さんによると、狙うべきタイミングが二つあるという。

「3週間前から2週間前が、急に空きの出る第1のタイミング。押さえていた宿を手放す旅行会社が出てくるのです」

 すべて満室に見える旅館でも、その時期まで待てば、空きが出る可能性が高いという。探すべきは、旅館の公式サイトや、「じゃらん」「楽天トラベル」「るるぶトラベル」など、オンライントラベルエージェント(OTA)のサイトだ。

「もう一つは、キャンセル料が発生するタイミング。こちらも、3日前と4日前に急きょ空きが出る可能性があります」

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