お礼や挨拶、様々なシーンで登場する「手土産」。ポイントはいかに相手を喜ばせるかがということだ。ならばその道のプロ、銀座で18年にわたり一流クラブを経営する白坂亜紀さんにも聞いてみよう。

 来店時の会話や服装などから顧客の好みを探り、お世話になっているお客様たちへ贈り物をするのが日課という。

「気をつけているのが、万人受けするもの、日持ちするもの、もらった人が負担にならないものを選ぶことです」

 忙しい客が多いので、贈る時には、すぐに賞味期限がこないことが絶対条件だ。その条件をクリアするもので、一番贈ることが多いのは、酒と水と米。酒はワインがいいのだという。

「自分で飲まなくても家族みんなで飲める。人にお呼ばれした時の華やかな手みやげにもなる。水は私の出身が大分なので、そこの名水を贈ることも多いです。日持ちもするし、誰もが必ず使う消耗品なのでとても喜ばれます」

 何げなく、思いついたかのように贈るのもテクニックの一つだという。例えば、6月に食事をごちそうになった男性にすぐにお返しができなかった時は、「夏に『故郷に帰ったので』と手紙をつけて故郷の名産品を贈る。“偶然に見つけた”感があれば相手に負担をかけないし、感謝の気持ちも伝えられます」

AERA 2014年12月8日号より抜粋