市販薬の添付文書。万一捨ててしまっても、その内容が医薬品医療機器総合機構(PMDA)のウェブサイトで公開されており、検索もできる(撮影/写真部・加藤夏子)
市販薬の添付文書。万一捨ててしまっても、その内容が医薬品医療機器総合機構(PMDA)のウェブサイトで公開されており、検索もできる(撮影/写真部・加藤夏子)

 薬局で気軽に手に取る風邪薬にも、実は、怖い副作用のリスクがある。

 唇やまぶたの粘膜が真っ赤に腫れあがり、まるでやけどのようにただれる。さらには体全体に赤い斑点が広がる。スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)の典型的な症状だ。その進展形である中毒性表皮壊死融解症(TEN)はさらに重症だ。高熱が出て、全身の皮膚の10%以上がやけどのような状態になり、こするとずるりと剥がれてしまうことも。肝臓や腎臓など他の臓器にも障害を引き起こし、死亡率は20~30%に及ぶと報告されている。

 SJSやTENを引き起こす主な原因は薬だ。恐ろしいのは、医師が使用する薬(医療用医薬品)だけでなく、薬局やネットで消費者が自分で購入できる薬(一般用医薬品)、しかも気軽に手にする風邪薬(総合感冒剤)でも、こうした重い副作用が起こり得るということだ。薬の中のどの成分が副作用の原因になるかは、諸説が唱えられ、まだ統一された見解はない。

 厚生労働省のまとめによると、2007~11年度の5年間に、メーカーから報告された一般用医薬品の副作用は計1220例に上り、うち24例が死亡例。それらの原因薬剤として最も多かったのは、風邪薬だった。

 市販の風邪薬を使用している人はものすごく多いことを考えると、副作用が起こる頻度は極めてまれだ。だが、一般用医薬品であっても、副作用がないわけではないということは、覚えておくほうがよいだろう。

 副作用の対応の基本となるのが「添付文書」。薬といっしょに入っている説明書のことだ。慶應義塾大学薬学部の望月眞弓教授は、「添付文書には、その薬を使用する際の注意事項が要領よく書かれている。『〇〇のような症状が出たら副作用の可能性があります』などと具体的に記載されているので、薬を飲む前に一度は目を通してほしい」と強調する。

AERA 2014年10月27日号より抜粋