日本看護協会によれば、訪問看護ステーションで働く看護師の数は約3万4千人(12年)だが、25年には「最低でも5万人必要」。
 同協会の齋藤訓子常任理事は、看護師の心構えとして言う。
「入院中から『退院したら家で暮らす』ことを視野に入れた病院でのケアが重要です。つまり病院では『治すこと』に主眼がおかれますが、『治療後、一人で暮らせない状態』ではなく、日常生活が送れる身体の状態にすることと合わせて、生活を支えるサービスにつないでいくことが求められます」
 大切なのは、働き場所ではなく、患者に寄り添う気持ちだ。

(資料1)2014年度に新設された 看護学部・学科
※各大学へのアンケートをもとに作成

所在地 大学名学部・学科名 倍率 入学者数(男:女) コメント

公立
福井 敦賀市立看護大学看護学部・看護学科 20.9 57(7:50)
福井県でも特に嶺南地域の医療人材(特に看護職)の慢性的不足の解消

私立
北海道 日本医療大学保健医療学部・看護学科 3.5 85(13:72)
      成熟した看護師教育を目指す。札幌近郊で実践的な「看護学実習」を実施

北海道 北海道科学大学保健医療学部・看護学科 15.3 106(16:90)
      社会環境の変化と地域における看護師の人材需要に対応

青森 青森中央学院大学看護学部・看護学科 3.6 94(16:78)
    医療が高度・専門化する中、看護師に求められる役割も高まってきている

栃木 足利工業大学看護学部・看護学科 3.5 83(8:75)
    社会の変化に対応して大学学部への転換を図った。看護と工学の連携

埼玉 東京家政大学看護学部・看護学科 3.2 110(0:110)
    人々の健康の保持増進と生活の質を維持する看護の実践力をもつ看護者を育てる

千葉 聖徳大学看護学部・看護学科 5.8 96(0:96)
    地元千葉県をはじめとする社会に貢献。最先端の医療機器を配備した環境

千葉 千葉科学大学看護学部・看護学科 2.5 97(17:80) 災害看護学、リスクマネジメント論など幅広い知識を身につけることができる

東京 文京学院大学保健医療技術学部・看護学科 9.0 105(10:95)
    様々な健康レベルの人の生活のあり方を理解するための実習を組み入れている

岐阜 朝日大学保健医療学部・看護学科 4.0 87(11:76)
    地元で活躍する看護師を育て、地域の保健・医療・福祉に貢献する

岐阜 中部学院大学看護リハビリテーション学部・看護学科 3.5 91(18:73)
    総合大学としての強みを活かした総合的な医療・福祉を学べる

三重 鈴鹿医療科学大学看護学部・看護学科 5.0 99(21:78)
    広い視野に立って地域貢献できる看護専門職養成に重点

京都 京都看護大学看護学部・看護学科 4.0 114(17:97)
    京都府内唯一の看護系単科大学として、充実した設備を整える

大阪 大和大学保健医療学部・看護学科 10.9 149(23:126)
    少子高齢化が進む現代社会では、医療への期待がますます高まっている

奈良 奈良学園大学保健医療学部・看護学科 11.4 88(14:74)
    奈良県看護協会及び地域の自治体、関係団体からの要望に基づき設置

広島 安田女子大学看護学部・看護学科 3.7 103(0:103)
    女子総合大学での広く深い学びの実現。看護師、保健師、助産師養成課程の設置

福岡 帝京大学福岡医療技術学部・看護学科 5.1 88(12:76)
    地域で学び、地元で生きていく人材をより多く育てるため

(資料2)
病院看護師として生き残るための4カ条】

1.当事者意識を持ったジェネラリストになる
専門職としての立場だけではなく、ジェネラリストになる能力・順応性を持つことが求められる

2.看護部長を目指す
管理者としての経験を積み、看護師長、看護部長などの病院経営の幹部を目指す

3.生き残れる病院を見極める
地域の医療ニーズをしっかりとつかんで適切な医療を提供している病院でなければ、今後、生き残ることはできない

4.専門家としての道を極める
専門性の高い看護師は引き続き需要がある。救急や手術室、内視鏡検査などの専門家としての道を狭く深く進む

(資料3)
【訪問看護師の仕事を魅力的にするための5カ条】

1.現場と行政が「在宅医療」のさらなる普及に努める
国や自治体が在宅医療を推進・拡大し、在宅で対応可能な医療の幅を広げることが必要

2.在宅医療を支える環境を整える
患者・家族が在宅で簡便に使用でき安全に管理できる機器や医療材料が必要だが、現在これらの供給が不十分。そのための環境を整える

3.看護師の業務範囲を拡大する
在宅医療拡大のためには、訪問看護師が現場で行う業務範囲の拡大が必要

4.病院と地域の橋渡し役になる
訪問看護師が病院と地域の橋渡し役を担える可能性が最も高く、訪問看護師がそのイニシアチブをとっていくことが望ましい

5.病院看護師と同レベルの給与体系を目指す
給与体系が異なることもあるので、両者に差がないような政策対応、イメージ戦略も欠かせない

※グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン監修

AERA 8月18日号