みずほ銀行丸之内第二部副部長西牧準子さん(42)にしまき・じゅんこ/1995年入行。青山支店、日本橋支店での法人営業、ストラクチャードファイナンス営業部での船舶ファイナンス担当などを経て、2013年10月から現職(撮影/写真部・植田真紗美)
みずほ銀行丸之内第二部副部長
西牧準子さん(42)

にしまき・じゅんこ/1995年入行。青山支店、日本橋支店での法人営業、ストラクチャードファイナンス営業部での船舶ファイナンス担当などを経て、2013年10月から現職(撮影/写真部・植田真紗美)
積水ハウス東京中央支店設計長新関掌子さん(46)にいぜき・しょうこ/1991年入社。東京南支店、SHIC CITY TOKYO(現・住まいの家学館)館長などを経て、2009年2月から現職。一級建築士(撮影/写真部・大嶋千尋)
積水ハウス東京中央支店設計長
新関掌子さん(46)

にいぜき・しょうこ/1991年入社。東京南支店、SHIC CITY TOKYO(現・住まいの家学館)館長などを経て、2009年2月から現職。一級建築士(撮影/写真部・大嶋千尋)
そごう・西武西武所沢店食品課長佐佐木万恵さん(48)ささき・まえ/販売部販売五課(食品)課長。1986年入社。そごう横浜店などを経て、2012年4月から現職(撮影/写真部・大嶋千尋)
そごう・西武西武所沢店食品課長
佐佐木万恵さん(48)

ささき・まえ/販売部販売五課(食品)課長。1986年入社。そごう横浜店などを経て、2012年4月から現職(撮影/写真部・大嶋千尋)
三井住友信託銀行財務コンサルタント若本志保さん(44)わかもと・しほ/青葉台コンサルティングオフィス財務コンサルタント。1993年、旧住友信託銀行に入行。市場金融部、仙台支店、東京中央支店などを経て、2012年6月から現職(撮影/編集部・高橋有紀)
三井住友信託銀行財務コンサルタント
若本志保さん(44)

わかもと・しほ/青葉台コンサルティングオフィス財務コンサルタント。1993年、旧住友信託銀行に入行。市場金融部、仙台支店、東京中央支店などを経て、2012年6月から現職(撮影/編集部・高橋有紀)
ヤンセンファーマ統合失調症マーケティング部グループ長小國薫さん(42)おくに・かおる/大学卒業後、飲料メーカー勤務、MBA留学、外資系製薬会社勤務を経て2011年ヤンセンファーマに入社。14年4月から現職(撮影/写真部・植田真紗美)
ヤンセンファーマ統合失調症
マーケティング部グループ長
小國薫さん(42)

おくに・かおる/大学卒業後、飲料メーカー勤務、MBA留学、外資系製薬会社勤務を経て2011年ヤンセンファーマに入社。14年4月から現職(撮影/写真部・植田真紗美)

「2020年に女性管理職の比率を30%にする」
政府が掲げた目標に、各企業が必死に取り組んでいる。
そんな先進企業で働く女性管理職をやる気にさせるコツとは。
(編集部・高橋有紀、ライター・和久井香菜子)

●みずほ銀行
環境を作る上司も表彰

 実際、女性は増えたなあと感じる。みずほ銀行丸之内第二部、法人営業の副部長を務める西牧準子さん(42)が入行した当時、新入社員の女性総合職は5人程度。現在は全社員の女性比率45%、管理職14.3%まで伸び、4月には生え抜きの女性執行役員が誕生した。
「出産・育児支援、仕事と介護の両立など、女性の離職を防ぐための制度はすでにある程度整っています」
 とみずほフィナンシャルグループ・ダイバーシティ推進室の間淵裕子さん(39)は説明する。だが、離職しないことと、管理職として組織を率いる立場になることはイコールではない。
「『やめなくてもいい』と『活躍する』の間にはまだ大きな溝がある。それを埋めていくことに今は取り組んでいます」(間淵さん)
 例えば、みずほアウォード(社内表彰制度)のダイバーシティ部門では、活躍する女性だけでなく、その環境を作る上司と周囲のサポートも表彰する。
「管理職を目指して働いてきたわけではなく、目の前にある仕事をひとつずつやっていたら、いま立っているところにたどりついていました」
 とあくまで自然体の西牧さん。家に帰れば3歳の女の子の母でもある。1年間の育休中は、2~3カ月に一度、上司がコンタクトを取って会ってくれた。「今はこんな案件に取り組んでいる」と最新の情報を教えてもらい、西牧さんも近況を話した。おかげでスムーズに復帰ができた。大企業ゆえ、人の異動も多く、そのサイクルも3年ほどと短い。人が入れ替わることが当たり前だから、育休を取ることにも後ろめたさを感じなくてよい空気がある。
「法人営業の肝は、いかにお客さまへの提案の質を高められるかというところ。相手との関係性を築きながら、担当業界についての研究、財務分析など企業経営に関する知識・ノウハウの勉強も欠かせません。自分の想像を超える提案を部下が持ってきたとき、成長を感じて嬉しくなりますね」

●積水ハウス
トラブルでも「君を信じる」

 2020年までに200人の女性管理職を、と目標を設定している住宅メーカーの積水ハウス。それでも比率は全体の5%。国の目標数値には遠いが、結果は出始めている。
 社内では、設計などの技術職でも女性が活躍している。女性第1号の設計長が新関掌子さん(46)だ。東京中央支店設計課の18人を統括する。
 だが、そんな新関さんも一生働くつもりで就職したわけではない。結婚し、03年に妊娠がわかったときには「辞めます」と申し出た。当時、身近に出産して復帰する女性などいなかった。女性課長から「どうして辞めるの? ご家族には相談したの?」と言われて家族に話してみると、みんなが応援すると言ってくれた。1年の育休を経て復帰してみると、新たな武器が身についていた。子育てをする上で便利な設備、家事動線などを熟知していた。09年に設計長の打診を受けたときは、戸惑いもあったが、会社側の配慮が背中を押してくれた。会社は、女性課長や信頼のおける上司を同じ支店に配置した。
「自信はありませんでしたが、チャレンジもせずに断ってしまうのはあとに続く女性たちにとってよくないと考え、引き受けました」(新関さん)
 現在積水ハウスが力を入れているのは営業職の女性登用だ。年に一度、女性営業交流会を行い、優秀な業績をあげた人を表彰する。会では表彰される女性営業の上司も、「育ての親」ならぬ「育ての店長」として登壇する。「女性をうまく育てられる人材」を評価する体制を作っているのだ。
「育ての店長は期待のかけ方がうまい。トラブルがあったときでも『君の言っていることを信じる』などと声をかけ、その人の強みを生かした伸ばし方ができる。女性の部下に『覚悟はあるのか』と聞いたり、逆に甘く接したりする男性上司がいますが、部下への期待は伝わらず、働きがいを感じにくい環境になってしまいます」(ダイバーシティ推進室長の伊藤みどりさん)

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