作業の効率をアップさせるのに便利なデジタルツール。しかしPTAの仕事となると、それも一筋縄ではいかないようだ。

 小6の娘がいる東京都杉並区のパート勤務女性Aさん(41)は、思わず固まってしまった。今年度最初のPTAの委員会で、新旧委員長が引き継ぎの説明をしていたときのこと。

「クラウドでファイルは共有。過去のパワポはUSBに」

 という言葉に、

「日本語で話しているの?ってくらい意味不明。慌てて、こっそりメモしました」(Aさん)

 PTAの現場で「デジタル格差」が頭をもたげている。せっかくITを活用して作業を効率化させようとしても、ITに対する知識の度合いが違うため、思うように活用できず、トラブルになることさえあるのだ。

 会合では、さらなる波乱が待っていた。委員の間でメールアドレス(メアド)をオープンにするか否か、という話になった。「委員長だけが知っているならいいが、全メンバーはNG」「迷惑メールがきたら嫌」

 もめにもめた末、当面、メアドは委員長が管理し、何かあれば委員長経由で連絡をまわすことになった。委員長の忙しさは倍増したが、保護者たちが委員長に同情している様子は、あまりない。委員長を引き受けてくれて感謝はしているが、どこかモヤモヤとしたものがある。

「委員長は情報通信会社の管理職。前委員長もアドレスから推測すると大手広告会社勤務。そんな気がないのは分かりますが、パソコンができるだけで威張っている感じがするんですよね」(Aさん)

AERA 2014年6月16日号より抜粋