異なる時期の違うテーマの実験結果の写真がそっくりになる可能性はきわめて低い。画期的な論文の主張を支える重要な証拠なのに、関係のない過去の実験結果を「単なる間違い」で使うことは考えにくい。

 調査委員会は改ざんがあったかどうか、さらにそれが故意かどうかで不正かどうかを判定する。悪意のないミスなら不正ではない。現時点で明らかなルール違反と判定されたのは、ネイチャー論文で、違う実験のデータを「切り貼り」して、一つの実験結果のようにみせた画像の加工だ。ただし、現段階で悪意があった証拠はなく、不正とはみなされていない。

 画像の切り貼りについても「やってはいけないと思っていなかった。申し訳ありません」と小保方さんは話したという。

「倫理的に正しくないデータ処理だと指摘した。悪意のある改ざんかどうかは、わからないが、重大な過誤」と理研の川合真紀・研究担当理事は、判断した。

 小保方さんらが所属する理研発生・再生科学総合研究センターの竹市雅俊センター長は、「もはや論文として体をなさないのだから、取り下げたほうがいいと勧めた」と話した。小保方さんらは論文撤回に同意したという。撤回すれば、論文発表はなかったことになり、すべて白紙に戻る。

AERA 2014年3月24日号より抜粋