JAL再建を助けた40もの標語「渦の中心に…」 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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JAL再建を助けた40もの標語「渦の中心に…」

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稲盛氏が掲げた目標は「社員の物心両面の幸福の追求」。全社一丸で再生に取り組む士気向上を狙った (c)朝日新聞社 

稲盛氏が掲げた目標は「社員の物心両面の幸福の追求」。全社一丸で再生に取り組む士気向上を狙った (c)朝日新聞社 

 経営破綻から見事V字回復を果たした日本航空(JAL)。その背景には、陣頭指揮を執った稲盛和夫氏(81)による「フィロソフィ(行動規範)」や「アメーバ経営」の導入があった。

 日本の「ナショナル・フラッグ・キャリア」と呼ばれたJALが約4年前、経営破綻した。法的整理の手続きを踏んでも「再生は不可能」と周囲は断じたが、JALは息を吹き返し、破綻から2年8カ月後の2012年9月、東京証券取引所に再上場を果たした。陣頭指揮を執ったのは京セラ、KDDIという世界企業を一代で築いた稲盛氏だ。スピード再生の要諦を、稲盛氏はこう振り返る。

「人間として正しいことを正しいままに貫く。社員の心が誠実なものに変わったのです」

 お客様視点を貫く。経営参画意識を持ち、採算向上に努める──謙虚に当たり前のことをやる。一人ひとりの社員が仕事に“誠実”に向き合うようになり、会社は変わったという。それを具現化する仕組みとして、稲盛氏は京セラ仕込みの「フィロソフィ」と「アメーバ経営」をJALに導入した。

 フィロソフィは40項目。「最高のバトンタッチ」「渦の中心になれ」など気恥ずかしくなるような標語が並ぶが、破綻後のJALでは経営陣を含む全社員参加のフィロソフィの勉強会が年に4回、開かれている。アメーバ経営は大組織を独立採算で運営する小集団に分け、共同経営のような形で会社を動かす。JALでは部・課ごとに約1千のアメーバがつくられた。

 この両輪が回り出すと、社員の意識が変わった。機長の大橋篤さん(45)は「カエル会議」という有志の会を立ち上げた。遅れが目立った便などを取り上げ、運航にかかわった社員が部門を超えて改善策を話し合う。タテ割りや事なかれ主義が蔓延していた以前ならあり得なかったことだ。

 破綻企業の再建には妙手も奇策もない。一定の資金を注入し、コスト削減に取り組み、売り上げ増につながる施策を打つ。だが何より働く社員の気持ちが前を向かなければ、浮上できない。稲盛氏は著書『燃える闘魂』にこう記す。

「日本航空の再建を通じて、人間の心がいかに偉大なことを成し遂げるかということを証明できたものと思っている。一人ひとりの思いと行いを変えることが、この国を、世界を一変することになるはずである」

AERA 2014年1月13日号秋元康特別編集長号より抜粋


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