「都会の高年収層は、小学校から塾に通い中学受験をした人たちが多い。その人たちが高学歴を手にし高収入を得ている場合がほとんど。ですから結婚して子どもができた際は自分と同じように塾に通わせ、中学受験をさせようとするのです。そうであれば収入がいくらあっても生活的には厳しくなる」

 現在の高収入独身層だって極端な無駄遣いをしているわけではなく、好きなものを食べたり欲しいものを買っていたりするだけだ、とも和田さんは話す。でも、中学受験のための塾に子どもを通わせるには、送り迎えも必要。夫婦ともにフルタイムで働いていては不可能だし、仮に有名私立中に進学したら学費がかかる。

「公教育に期待が持てず投資せざるを得ない今、1千万円の年収は昔の600万円くらいなものです」

 高年収層には不要な圧力がかかっている、と話すのは先の武蔵大学の田中さんだ。

「年収が低くて結婚できないという『理由』は分かりやすい。だから年収が低くて結婚できない場合はかわいそうだと思われる。ですが、ある程度の高年収なのに結婚していない状態は理解されにくい。人格的におかしかったり特殊な事情があったりするのではないかといった邪推さえ生むのです」

AERA 2013年12月23日号より抜粋