「副知事職で年収1500万円程度はあったが、著述業時代から個人事務所を構え、秘書も何人か雇っていただけに蓄えがあるわけじゃない。自分で銀行口座の出入りを一件一件確かめては、たとえばテレビ局からの未入金に気づくと、深夜であっても担当者に電話を入れ、早く振り込むよう促していた。さらにはギャラが数年前より下がったと腹を立てて、ネチネチ文句を言ってましたよ」(知人)

 それでも選挙では、都庁近くのビルの吹き抜け1階フロアを選挙事務所として借り切った。当時の選対関係者が言う。

「選挙素人の猪瀬さんは、石原さんの組織力に頼った。いわゆる“選挙屋”と呼ばれる実行部隊が送り込まれた。彼らは選挙のプロですから、ポスターの貼り方から選挙カーの稼働まで経験則で仕切った。その“業務委託費”が2500万円。なんやかんやで、全部で4千万円くらいかかったと記憶している」

 そんな懐事情で「5千万円」となれば、誰もが疑惑の目を向けたくなるだろう

AERA 2013年12月9日号より抜粋