2020年の東京五輪開催が決定し、早くも経済効果が期待されている。特に株価に関しては、バブル時以上の値動きを予想する向きもある。

 株価の動きが、前回の東京五輪の開催地決定から開催までの上昇と同じような道筋をたどれば、一時的に3万円超えもあり得る。日経平均株価が4万円に近づくというエコノミストのレポートも飛び出した。4万円はバブル期の最高値を上回るが、大和証券の木野内栄治シニアストラテジストは、「今後1カ月の間で(5月につけた年初来高値水準の)1万5000円台をうかがい、いったん落ち着くでしょう」とみる。

 その後、外部環境の類似性から、開幕までの株価は00年のシドニー五輪と同様のパターンをたどると予測。それは、緩やかながら右肩上がりのカーブを描いているのだが、当面は立ち上がりが鈍い。

「(公共投資の)プラン作りに時間がかかるためです。少なくとも来年はそのために費やされるでしょう。実際の経済効果が表れるには、さらに時間がかかると思われます」

 個別銘柄はどうか。大和証券では、建設やスポーツ用品の製造・販売、旅客など今回の特需を追い風にしそうな「五輪関連銘柄」をピックアップした。

 建設関連では大林組、清水建設、鹿島などを挙げたが、「スーパーゼネコンの中でも今回、シンボリックな銘柄になる」と指摘するのが大成建設。売り上げの6割を首都圏の事業で占め、「東京で五輪が開かれるメリットが一番大きいのではないか」とみている。同じ理由で、湾岸エリアで多くの事業を手掛けている三井不動産にも地の利がある。

 スポーツ用品製造のアシックスは、海外展開を推し進めてきた。東京に世界の目が向くことで、これまでの「グローバルマーケティング」の成果を享受できる可能性があるという。850万人とも言われる海外からの旅行者を運ぶJALなど運輸も、注目業種の一つに数えられる。

AERA 2013年9月23日号