「親の収入が減少する中、親は子どもに希望する職に就いて幸せになって欲しい、と教育投資に真剣です。手持ちのお金では足りず、借金をする家庭もあります」

 デフレでモノの値段が下がっても、教育費だけはなかなか下がらない今、貸与方式の奨学金や、教育ローンを利用する保護者も増えている。「教育費は投資」という考え方も、お金を出した親が回収する投資というよりは、子どもの世代で回収するための投資という考え方で、裏を返せばそれだけ子どもへの愛情が強いことの表れだ。

 しかし、前出の菅原さんは「でも、一度、あふれる愛情を、冷静な目で見つめてほしい」と話す。

「親は、100%の力を出し尽くすのではなく、今も将来も、常にいくらかの余裕を持っておくことが、子どもを守ることにつながります」

 しかし、だからといって東大をはじめとする難関大学を諦めるのはまだ早い。先の東大家庭教師友の会が現役東大生に実施したアンケートでは、次のような結果も出ている。

 東大生と早大・慶應・一橋を含む主要難関大学生との塾通いを開始した時期を調べると、「小学4年生:東大生(36.1%)/難関大生(43.2%)」の入塾が一番多かったが、注目したいのは小学4年生以外の東大生と難関大生の入塾時期の差。東大生は「小学5年生春(24.3%)」「小学6年生春(13.2%)」と比較的遅めの入塾者が多いのに対し、難関大生は「小学2年生(4.8%)」と、早くから入塾した人が目立った。つまり、東大生は最初から塾に通わず、ある程度独学で勉強していた傾向が伺える。

 経済格差=教育格差という現実に悲観することはない。前出の「中学受験白書」の父親と母親の行動の違いによると、父親の半数が「わが子にあった勉強法を考える」と答えている。また、学年によってばらつきがあるものの、中学受験組の父親は平均して20~25%ほどが家庭で子どもに勉強を教えている。肝心なのは、我が子に適した学習法をみつけることなのかもしれない。

【関連リンク】
ベネッセコーポレーション「中学受験白書」
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