幼い頃からたくさんの思い出を共有し、分かりあえてきたはずのきょうだい。それなのに、相続で、介護で、「骨肉の争い」を演じるのも兄弟姉妹だ。きょうだいの人数やパターン別に、その傾向を調査した。

 きょうだいの人数別で見てみると、「もめ率」は、2人きょうだいでは10%、3人は8%、4人は14%だったが、5人だと32%と跳ね上がる。相続は「全員合意がルール」のため、一人でも反対者がいると、話し合いが成立しなくなってしまう。きょうだいが多くなると、もめやすくなるのだ。

 では、実際にもめたきょうだいの中で、トラブルメーカーには誰がなる場合が多いのか。ワースト3は、1位が4人きょうだいの長兄、2位が3人きょうだいの次兄、3位が5人きょうだいの次兄、と男性が上位を独占した。総数が少ないのであくまで参考データだが、心当たりのある方は、ご注意を。

 そもそも、なぜきょうだいはもめるのか。

「きょうだいは、争うようにできている」

 こう断言するのは心理学者の碓井真史・新潟青陵大学大学院教授だ。碓井氏は旧約聖書に記されたアダムとイブの息子、カインとアベルを引き合いに出す。

 兄のカインは、弟のささげ物の方が神に喜ばれたことに激しく嫉妬し、弟を殺してしまった。なんと、「人類最初の殺人」も兄弟間で起きているのだ。

「きょうだいは生まれながらに親の愛を奪い合うライバル。あめが1個多い、ハンバーグが少し大きいなど、ささいなことで争うのは、それが親の愛の大きさだと感じているからです」

 親の愛の奪い合いは、大人になっても続く。例えば親から大学の学費や結婚資金、マンション購入費などを援助してもらうと、相続時にもめる原因となる。

AERA 2012年10月8日号