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9月号
書評サイト「HONZ」代表 成毛眞 Naruke Makoto
他人の失敗を笑う“文系脳”が日本を滅ぼす

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理系脳で考える AI時代に生き残る人の条件

成毛眞著
定価:778円(税込)

978-4022737298

amazonamazon.co.jp

 今年8月、宇宙ベンチャーのインターステラテクノロジズが小型ロケットの打ち上げを挙行した。残念ながらエンジンが緊急停止し、ロケットは宇宙空間に到達しなかった。

 この事実を“失敗”と受け止めるのは文系脳、“成功”と受け止めるのは理系脳の持ち主だ。詳しくは後で触れるが、理系学部出身者にも文系脳の持ち主はいるし、文系学部出身者にも理系脳の持ち主はいる。

 目標としていた宇宙空間に到達しなかったのだから、目標は未達ということになる。失敗を主張する人のよりどころはここにあるのだろう。一方で、成功と受け止める人は何を見てそう判断しているのかというと、打ち上げを試みたという事実である。目標は達成しなかったが、実際に打ち上げてみて初めてわかったことはあるだろうし、打ち上げてみなければ気付けなかったこともあるだろう。入念なシミュレーションを経ていても、それでも、実際にやってみないとうまくいくかどうかがわからないのが科学だ。だから、この結果を“成功”と受け止めるのは、少し違うかもしれない。この結果は“当たり前のこと”なのだ。

 トーマス・エジソンは天才の条件を「99%の努力と1%のひらめき」としているが、これは、うまくいかなくて当たり前という意味だ。一度や二度の挑戦では、うまくいくはずがない。科学の世界にビギナーズラックはない。実験は、未知の食材と調味料で料理にチャレンジするようなもの。最初から最高の結果は手に入らない。だからコツコツと、少しずつ実験の条件を変えながら、数をこなしていればいつかベストを探り当てられるはずだと信じて取り組み続ける。うまくいくまでの繰り返しが努力であり、条件を変えるときの勘どころがひらめきだ。大抵の人はベストに到達する前に諦めてしまう。

 私は今回の著書『理系脳で考える』で、理系脳をこう定義した。


(更新 2017/9/ 1 )


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