4月号
京都学園大学人文学部教授 山本淳子 Yamamoto Junko
政敵の書、『枕草子』が生き延びた理由

朝日新聞出版の本

2017/04/04 17:43

『枕草子(まくらのそうし)』を初めて知ったのは、幼稚園児の頃だった。祖母と一緒に寝ていた私は、毎夜寝物語をせがんだ。そんな私に祖母が聞かせてくれたのが「香炉峰(こうろほう)の雪」の話だったのだ。千年前の宮廷。天皇の第一の后(きさき)に仕える清少納言(せいしようなごん)。雪が高く積もったある日、后が彼女に謎のような言葉をかける。「清少納言、香炉峰の雪はいかに」。実は長じて『枕草子』本文を確認すると、この祖母の言葉は少し違っていた。だが、それはよしとしよう。后の声掛けに、清少納言は御簾(みす)を高々とあげる。祖母はそれをポーズ付きで演じ、これが中国の詩に基づく教養溢れるやりとりなのだということも教えてくれた。『枕草子』は私の心に、優雅な宮廷生活を綴った書物として焼き付けられた。

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