1カ月の本の購入数は50冊以上、時間があれば神保町で古本屋巡りも------アノヒトの読書遍歴:山中千尋さん(前編) 〈BOOKSTAND〉|AERA dot. (アエラドット)

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1カ月の本の購入数は50冊以上、時間があれば神保町で古本屋巡りも------アノヒトの読書遍歴:山中千尋さん(前編)

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ジャズ・ピアニストの山中千尋さん。名門校「バークリー音楽大学」を首席で卒業した後、米メジャーレーベルと契約し全米デビュー。これまでにリリースしたアルバムは国内のあらゆるジャズチャートで1位を獲得し、名実ともに日本を代表するピアニストに。今年6月には、最新アルバム『ユートピア』をリリースしました。現在はアメリカ・ニューヨークを拠点として、世界各地で活躍している山中さん。グローバルな活躍と同様に、さまざまなジャンルの本を読むとか。今回は幼少期からの読書遍歴を伺いました。


------山中さんは、1カ月にどれくらい本を読まれるんですか?

「一度に3~4冊を読んでいて、購入している本の数で言ったら50冊くらいですね。本屋さんへは1日3回くらい行っています。もはやパトロール(笑)。海外でも必ず本屋さんに行きますし、日本にいるときは暇さえあれば神保町の中古本屋をうろうろして、良さそうな本があったら購入していますね。人に譲ったりもするんですけど......、やはりこのペースで本を購入していると、家にどんどん溜まっていってしまって......それが少し困るかな(笑)」


------月に50冊はすごいですね! 今でこそ「字が書いてあったら何でも読む」そうですが、小さい頃にはどのような本を読まれていましたか?

「小さい頃は、母が絵本を多く与えてくれていて。それこそディック・ブルーナの本は全部持っていましたし、『クマのプーさん』や『ピーターラビット』のようなオーソドックスな作品はもちろん、私と名前も同じ、いわさきちひろさんの絵本とかもたくさん。とにかくいろいろな国の絵本がうちにありました。その中でも特に印象に残っているのは、黒人の子のお誕生日の話。黒人だからお誕生日に呼んでもらえないっていう......。ほかには障害あるお友達のお話とか。そういう社会派な絵本も含め3歳くらいで読み聞かせてもらってましたね」


------小学校にあがってからはどういった本を?

「もちろん、子どもが読むような本もたくさん読みましたが、『暮らしの手帖』が全部家にあったので、そういうのとか。あとは父が好きだった太陽などサブカル系の本も読みましたし......。高学年になる頃には、これも家にいろいろな方のものがいっぱいあったので、土門拳さんの写真集なども。あとは、晶文社とか白水社から出ているアメリカ文学がすごく好きでした」


------なるほど。最近ではいかがでしょうか?

「やはり"アメリカ社会"を描いた作品。ジェシカ・ベネットさん著、岩田佳代子さん翻訳の『フェミニスト・ファイト・クラブ』ですね。フェミニストって言うと、どうしても女性寄りの意見という風に思われるかもしれないんですけど、この本は、性別年齢問わず読んでいただきたいですね。現代社会を生きる中でのモヤモヤを解決してくれると思います」



------例えば、どのような点が?

「よく『あの人病んでる!』とか、『彼女って情緒不安定だよね』とか......、そんな風に人のことを言ったり、あるいは自分のことを思ったりすることって多いですよね。特に『病んでる』という表現は、学生さんがすごく頻繁に使っているように感じます。でも、人間であれば誰でもそういった状態に陥ることがあると思います。そんな時に、どのように伝えたら相手を傷つけずに会話ができるか......とか、そういうことがこの本にはマニュアルのように書いてあるんです。ほかの例で言うと、自慢の仕方。日本人ってどうしても控えめに自分のことを話しますよね。それは一方では『美徳』とされていますが、あまりに行き過ぎた遠慮っていうのは、逆に攻撃的になってしまう。自分の良さを素直に受け止めて、そして自慢にならない良い形で話せるようにするためには、なども描かれています。人間関係のサバイバルに対して、非常に役に立つ本かなと」



------役立つ、とは?

「日常に起こっている『えっ? これおかしくない?』という疑問に対して全て答えてくれているんです。すごく社会的な本で、説明するのが難しいんですが......。例えば、人間関係で悩んだ時にどんな風にコミュニケーションをとればいいかわからなくなった時――人種も違う、年齢も違う、立場も違う、そういった人がごちゃごちゃになった時――、人にどのように語り掛けたら一番自分の真意が伝わるか、そして誰もがハッピーでいられるかということはすごく難しいことですよね。でもこの『フェミニスト・ファイト・クラブ』にはそういった処生の答えがたくさん書かれてあります」


------誰もがぶつかりそうな問題ですね、

「はい。この本を書いているジェシカ・ベネットさんは、コラムニストでニューヨークタイムズ始めいろいろな媒体に書いています。彼女の文章は、性別年齢そして人種問わず、誰にでも寄り添い、語り掛けている......そういったところがすごく魅力的です。きっと読んだ後は、本音を共有した友達と会話をした後のようにスカッとしますよ」



------ありがとうございます。後編では山中さんを元気にしてくれる一冊などをご紹介します。お楽しみに!



<プロフィール>

山中千尋 やまなかちひろ/群馬県出身のジャズ・ピアニスト。バークリー音楽大学を首席で卒業後、2001年にジャズ・ピアノの名門レーベル「澤野公房」からデビュー。その後渡米し、ニューヨークを拠点に世界各地で活動を続け、2011年には米「デッカ・レーベル」初の日本人ジャズ・アーティストとして、全米デビューを果たす。2015年からは自身の卒業校でもある桐朋学園大学の音楽部作曲科や、バークリー音楽大学で教鞭を揮っている。今年6月に、最新アルバム『ユートピア』をリリース。


(記事提供:BOOK STAND)

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