有安杏果が撮る東京の文化財『正福寺』の魅力 志村けんさん地元で「スタイリッシュな屋根がかっこいい」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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有安杏果が撮る東京の文化財『正福寺』の魅力 志村けんさん地元で「スタイリッシュな屋根がかっこいい」

ももかアイズ【最終回】

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平野圭祐週刊朝日
 有安杏果さんと東京都内の寺社仏閣を訪ねる企画「ももかアイズ」。今回おうかがいするのは、東村山市にある正福寺。最寄り駅は、西武鉄道新宿線の東村山駅だ。

 今回の撮影も新型コロナウイルスの影響が拡大する前に、安全には配慮した。
正福寺境内で撮影する有安杏果さん(アプリコット提供)

正福寺境内で撮影する有安杏果さん(アプリコット提供)

 この駅を降りると、人気お笑いグループ「ザ・ドリフターズ」のメンバーとして活躍した、東村山市出身のコメディアン、志村けんさんを思い出す。「東村山音頭」を通じて、市を全国に広めた功績をたたえて、駅東口のロータリーに植樹された3本のケヤキの木は「志村けんの木」と呼ばれ、けんさん直筆の看板が設置されている。新型コロナによる肺炎のため、2020年3月に70歳で亡くなり、6月に名誉市民に選ばれた。

「大学時代は西武鉄道で通学していたので、西武鉄道には親しみを感じています」と有安杏果さん。
正福寺地蔵堂

正福寺地蔵堂

 駅から10分ほど歩いた閑静な住宅街の中に、正福寺はある。山門をくぐると、正面に正福寺地蔵堂が見える。堂内に千体を超える小地蔵が奉納されていることから、地元では「正福寺千体地蔵堂」という名称で親しまれている。
正福寺地蔵堂の正面扉

正福寺地蔵堂の正面扉

 正福寺地蔵堂は、1934(昭和9)年の改修で発見された墨書銘から、室町時代の1407年に建てられたことがわかったという。禅宗様の代表的な建築物で、屋根が空に向かって、ピンと跳ね上がっているのが印象的だ。「スタイリッシュな屋根がかっこいいですね」(有安さん)。シンプルな造りだからこそ、力強さを感じさせる。東京都内で国宝に指定されている唯一の木造建造物だ。「当時は白木でした。木材の6~7割は、建てられた室町時代のものです」と正福寺副住職の福原泰明さんが説明してくれた。東京大空襲も逃れ、現在まで代々、守られている。
堂内から境内をのぞく

堂内から境内をのぞく

 ふだんは公開していないが、今回、特別に堂内に入れていただいた。有安さんは「堂内の空間はとても静かで落ち着いていて、居心地がいいですね。建物の木の組み方がおしゃれで、歴史を歩んできたから出せる材木の色がとても素敵です」と仰ぐように天井を見渡した。福原さんによると、禅宗様建築は、塗料を使わず、質素が特徴。組み木の形自体が装飾であり、この質実剛健なところが武士に好まれたという。
安置された小地蔵

安置された小地蔵

 ご本尊の延命地蔵菩薩像の左右に棚があり、小地蔵が並ぶ。正福寺によると、小地蔵の奉納が始まった時期はわからないそうだが、昔は自分の手で木を掘ってお堂に納めていたらしい。1体1体の顔つきは異なり、奉納した人の願いや思いが込められている。背丈はおおよそ15~30センチぐらいだ。堂内に安置されているものは、1714~29年に納められたものが多いという。約900体は東村山市指定有形文化財になっており、このうち約270体は背面に名前などの墨書がある。年号がわかるものは24体という。1970年代に奉納されたものは未指定文化財で、500体ほどあるという。
堂内を撮影する有安杏果さん(アプリコット提供)

堂内を撮影する有安杏果さん(アプリコット提供)

 堂内の床は、三和土(たたき)になっている。土間を仕上げる工法の一つだが、職人が途絶え、創建当時の状態を再現することができなくなっているという。

 毎年、文化の日の11月3日に地蔵まつりが行われ、開眼法要でお経を上げた「厄除小地蔵」が500体、有料頒布(3千円)される。これらは、市内の障害者施設でつくられている。参拝者はこの小地蔵を自宅の机の上やタンスの中などに置き、1年後にお寺に返して、新たに有料頒布を受ける。
境内に奉納された厄除小地蔵

境内に奉納された厄除小地蔵

 地蔵まつりの後は、近所にある和菓子店「清水屋」にて有料で頒布してもらう。地蔵堂の形をした絵馬のようなデザインの「かさね地蔵」(千円)もある。清水屋では、門前菓子として「千体地蔵最中」(税込み200円)が買える。

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