首都圏人気私大はどうか。トップは東京理科大で70.7だった。理工系大学ながら伝統的に国家公務員総合職、地方上級職、教員などへの就職が強い。続いて早稲田大。金融系やマスコミ系の就職に強いほか、東京都職員など地方公務員に就職する学生も多い。慶應義塾大は「就職者3名以上の企業のみ公表する」(大学広報)方針で、偏差値を出すことができなかった。

 上智大と明治大は僅差だった。大学通信の安田常務はこう見る。

「高校の教員が選ぶ『就職に力を入れている大学』ランキングでは明治大が10年連続でトップになっており、就職力をつけてきている。有名企業への就職では上智大に分があるが、公務員を含めると明治大に総合力があり、肩を並べている」

【ISMART+GCH】(週刊朝日2020年1月31日号より)
【ISMART+GCH】(週刊朝日2020年1月31日号より)

 青山学院大と中央大もほぼ並ぶ。中央大は、入り口時点の人気では明治大、青山学院大、立教大と差が開いたともいわれるが、出口の実力では底力を見せた。

 中央大が特に強いのは、国家公務員と地方公務員の就職。司法試験や国家公務員総合職試験への対策に力を入れている。その象徴が、多摩キャンパス内にある、自習室などを備えた専門棟「炎の塔」だ。司法試験などの合格を目指す学生が集まる研究室が設置され、入室試験に合格すれば自習室に専用の机を借りることができる。日曜・祝日も朝8時から夜11時まで利用できる。

 さらに大学職員は企業回りにも地道に取り組んでいる。キャリアセンターの池田浩二副部長はこう語る。

「役員や人事担当者から求める人材を直接聞いて、企業ごとに把握。学生が相談に来ればその情報を提供できる。ライバル大学もここまで手厚くはないはず」

 新しい大学グループ「成成明東日+駒専」はどうか。成蹊大、成城大、明治学院大の就職率の良さが目立つ。「大学ランキング」編集者の小林哲夫さんはこう見る。

「成蹊、成城、明学は女子に人気の大学で、学生の女子比率も高い。一般的に女子は就職にも強く、偏差値を押し上げたのでしょう」

【成成明東日+駒専】(週刊朝日2020年1月31日号より)
【成成明東日+駒専】(週刊朝日2020年1月31日号より)


 日本大と東洋大は、就職偏差値は50前後。就職偏差値では成成明学の後塵を拝するが、有名企業、公務員の就職者の数では両大学とも成成明学を上回っている。

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