ボクシングジムでトレーニングする山本貴代さん(本人提供)
ボクシングジムでトレーニングする山本貴代さん(本人提供)

 コロナ禍を経て元に戻るもの戻らないものがありそうだが、50代から70代の「大人女子」たちの元気ぶりはどちらか。様子を探ると活発さは相変わらずで、コロナ後の生活を見越してウズウズしている向きもある。さらなるパワーアップも垣間見え、「女性は年を重ねるほど元気になる」とする仮説まで登場している。

【画像】いまどきの「女性パワーの構図」がコチラ

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「最初は“コロナ太り”解消が目的だったんです」

 女性生活アナリストの山本貴代さん(57)は、ボクシングを始めた動機についてこう話す。

「巣ごもり生活」で少し体重が増えた。ボクシングは究極の痩せるスポーツとは聞いていた。事務所の近くに元世界チャンピオンの川島郭志氏が経営するジムがあることも知っていた。ただ、「男の世界」を前にあと一歩が踏み出せないでいた。

「でも一昨年の暮れ、今やるしかないと思って入門しました。『カッコよくなりたい』という欲望がありましたから」

 以来、週4~5日、まるで学校の部活のようにジムに通う。縄跳び、サンドバッグ、パンチングボール、シャドー……。約1時間半、みっちり汗を流す。

 最後は決まって、元世界チャンプがミットでパンチを受けてくれる。バチーン。その音を聞くだけで気持ちがよくなり、その日の「マイナス」が全部消えていく。

「ボクシングは『自分との闘い』の面があり、それが楽しくなって続けています。おかげで体幹が鍛えられた気がします。ゴルフも飛距離が伸び、100を切るスコアを出せるようになりました」

 つくづく「いい時代」を生きていると思う。ボクシングのように、やりたいことは何でもできる、いや、やれる時にやっておいたほうがいい……。

「私だけじゃありません。今の50~70代の女性って総じて元気で、『もう一花咲かせたい』とか『最後まで「女子」でいたい』とか思っている方がいっぱいいます」

 マスクの着用が個人の判断に委ねられ、5月にはコロナの感染症法上の位置づけが2類相当から5類に下げられる。今後、いろいろなものが徐々に「日常」に戻っていくとみられるが、「コロナ前」に勢いがあったものは再び活気を取り戻すのか。

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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