タモリさん
タモリさん

 地球がある限りずっと続くものだと思っていた平和ボケの頭に、「終了」という一撃をガツンと食らわせた「タモリ倶楽部」(テレビ朝日系)。

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 プロ書評家・プロインタビュアーの吉田豪さんは1999年、タレント本コレクターとしてタモリ倶楽部にゲストとして初出演した。まだ吉田さんが数回しかテレビに出ていないとき。いわばメジャーデビューのようなものだったらしい。

「その後トータルで3回出ていて、最後に出てから10年経ってますね」

 思い出に残っているエピソードは、2007年、亡くなったプロレスラーのカール・ゴッチを追悼する回に出演したときのこと。ゲストは、浅草キッドと元プロレスラーの山本小鉄、そして吉田さんだった。

「収録前、ゲストがテーブル席で雑談していたら、僕の隣にタモリさんが座ってきて。タモリさんと小鉄さんが、まったく僕が入れないゴルフの話で盛り上がっちゃったんですよ。すぐに浅草キッドはエスケープして、僕は壁とテーブルに挟まれて身動きも取れず。すごく貴重な現場にいるのに、話にも入れないという本当にもったいない時間を過ごして。本番ではタモリさんとプロレス界の意外な接点の話をボクが振って盛り上がりましたが、盛り上がらなかった本番前が印象的で(笑)」

 番組初期こそ、連続メロドラマの主演を務めたりとがんばっていたタモリだが、まもなく脱力ぶりを発揮。現場でも、すっかり脱力したタモリを目のあたりにすることも多かったという。

 例えばカメラが回って、さあ今から本番というとき、隣のみうらじゅんにタモリが、どうしようもない下ネタ入りの夢の話をし始めて、いつまで経っても本番が始まらない、など。

 同時に番組の内容も脱力化していった。初期は今ならありえないようなニッチな企画も多かった。

 コーナーも「東京トワイライトゾーン」とか、「夜の英会話」とか、完成度の高いいろんな企画が目まぐるしく登場。ところが最終的には「『空耳アワー』がおもしろすぎて(笑)」(吉田さん)固定に。

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