※写真はイメージです
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 2024年の制度拡充で富裕層も注目している「NISA」(少額投資非課税制度)。気になっている人も多いはずだが、投資信託を使った資産形成に詳しいファイナンシャルプランナー界の大御所、神戸孝氏は口座を開く際には注意が必要だと話す。

【図表】新旧NISAをスッキリ整理

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 神戸氏によると、早くも4月ごろから金融機関の新NISAキャンペーンが始まりそうだという。住宅ローンの金利を低くしたりするなど、さまざまなサービスを組み合わせた勧誘策が出てくるとみられるが、どの金融機関も決死の覚悟だろうという。

「生涯非課税枠の大きさから考えると、ここで選ばれると、その顧客と一生つきあうことになる可能性が高い。金融機関側の要望と思われますが、現行NISAの口座がすでにある場合は、その金融機関で自動的に新NISA口座も開けるようになりそうです。でも、それに乗るかどうかは顧客しだいです。だからこそ金融機関は『ここで負けたら……』と必死にならざるを得ないでしょう」

週刊朝日 2023年3月24日号より
週刊朝日 2023年3月24日号より

 客サイドで注意したいのは、一度、新NISAの口座を開くと、その金融機関から別の金融機関へ乗り換えることが簡単ではなさそうなことだ。

 というのも、金融機関を乗り換える場合、自分がそれまで投資しているのと同じ金融商品が移す相手先になければいけない。ところが、投資信託を中心にした金融商品の品ぞろえは各金融機関でまちまちだ。同じ商品がないと、せっかく運用してきたものを売却して現金化しなければならなくなる。

「ネット証券は取扱本数が多いため、各金融機関からネット証券へ移るのは比較的簡単でしょう。でもその逆、ネット証券から地元の金融機関などへ移るのはハードルが高いと思っておいたほうがいい」(神戸氏)

 このほか、個別株の取引を新NISAで将来的に行う可能性が少しでもあるのなら、証券会社を選んでおく必要があるなど、どこに口座を開くかは慎重に考えたほうがよさそうだ。(本誌・首藤由之)

週刊朝日  2023年3月24日号より抜粋

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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