※写真はイメージです (GettyImages)
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 どこまでも真摯(しんし)な人だ。ドラマ「大病院占拠」で市民を守るために戦う刑事・武蔵三郎を演じた櫻井は、信念、挫折、正義、といったテーマに対し、考え抜いた末に丁寧に言葉を紡(つむ)ぐ。過去の逆境も「すべて乗り越えてきた」と言い切る、強さの秘訣に迫る。

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──「武蔵は、信じたものに、ぶれずに進んでいくのが魅力」とおっしゃっていましたが、“譲れない信念”はある?

 結果は同じでも最短距離は進みたくない、後悔のないプロセスを踏みたいなとは思っていますね。たとえば教科書の2ページ目と4ページ目と6ページ目を読めば100点を取れるとしても、10ページ全部読んでおきたいっていうか。やれることは全部やらないと気が済まないっていうことかも。

 まあ、日々考えてるわけではないですけど、何かと問われればそうかな。でも、こういうの、20年後ぐらいにバラエティーでめちゃくちゃイジられるんだろうなーと思って、今ちょっと怖くなりました(笑)。

──武蔵は過去のトラウマに苛(さいな)まれていますが、何かに挫折した経験は?

 うーん、嵐としてデビューした最初のころは何もかも順風満帆というわけでもなかったし、コンサートも大きい会場でも超満員というわけでもなかったので、悔しい思いもしてきました。だけど、その、唇噛みしめながら過ごしてきた日々を乗り越えて、のちにたくさんの人に知ってもらうグループになれたという意味においては、その期間は誇りですし、糧なので、挫折や失敗と捉えていいのかわからないです。

 まったく別の話で言うと、小学校とか中学校のときになっちゃいますね。何人かのグループの、ちっちゃなお山の大将みたいな子どもだったから、友達から「お前にはもうついていけねぇよ」みたいなことを言われて。友達が傷ついていたから僕にそれを伝えてきたんだけど、それをもって自分が傷つくというか。

 でも、傷は傷のまま残ることもあるけど、痛みを知る人のほうが優しくなれるのかなと感じます。人の痛みに寄り添うとか、人のさみしさに気づくとか。子どものときに限らず、大人になってからの数々の経験っていうのも等しく作用すると思いますけどね。

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