落ち込む母(石田)=中央=を慰めようと、温泉旅行へ出かけた夕子(井上)=右=と妹の晶子(阿部純子)。一見仲良し親子なのだが……(c)2022「わたしのお母さん」製作委員会
落ち込む母(石田)=中央=を慰めようと、温泉旅行へ出かけた夕子(井上)=右=と妹の晶子(阿部純子)。一見仲良し親子なのだが……(c)2022「わたしのお母さん」製作委員会

 20年3月にクランクイン。7~8割撮り進めたところで新型コロナウイルスの感染拡大で中断に。再開したのは9月になってからだ。

 延期になったのは、私にとって今日でクランクアップという日でした。すべての準備が整っていたのに、延期にせざるを得なかった。私としては今日撮ってしまえば解放されると思ったんですが(笑)。寛子が住む家のシーンは愛知で撮影済みでしたが、結局、千葉ですべてを撮り直しすることになりました。また同じ次元に気持ちを合わせる作業はちょっと大変です。そんな時のモチベーションは、いい形で終わっていい映画にできたらいいなと思うから。あとは自分なりのけじめの付け方ですね。自分が納得した形で終わらせないと私は次に行けないので、重い腰を上げました(笑)。結果的には、ちょっと時間をおいて、考える時間もできてやり直すことができて私としても「終わった感」がありました。

 石田さんは18年に短編映画で監督デビュー。監督への転身を考えているのだろうか。

 短編を撮ったというだけです(笑)。映画監督になる気はサラサラないですよ。ただね、本を読んでいたら映像が浮かんで、「これを映画にするとおもしろいのに」と思うことが多くなってきて。でも、私は俳優でやってきましたから、映画をどうやって作ったらいいかわからない。それでまず、短編を作ってみようかと思ったんですね。でも作ったら、難しいことがイヤというほどわかりました。そこでやめればいいものを、映画の勉強を始めて、見方もちょっと変えてみて。それで今、長編映画を準備中です。失敗するかもしれませんが一回やってみようかと思って。やらないで死ぬ時に、「あの時、映画を作っていたらどうなってたんだろう」と思うよりは、大失敗でもみんなの評価が星一つでも納得が行くのではないかなと(笑)。来年4月から撮影に入る予定です。脚本も自分で書いています。

■30年思い続けてハリウッド進出

 俳優としては、昨年公開のハリウッド大作「G・I・ジョー 漆黒のスネークアイズ」の出演が記憶に新しい。

次のページ