※写真はイメージです (GettyImages)
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 老後資金の頼みの綱はやっぱり年金。今の年金世代に多い専業主婦は、その年金が少額のことが多いが、実は制度をうまく利用すれば60代の10年だけで年金額を相当増やせる。しかも、それは将来の「おひとりさま対策」にもつながる。一石二鳥の年金増額策とは──。

【図表】専業主婦の年金を60代で増やすワザ、4ステップはこちら

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 都内に住む専業主婦のAさんは、60歳になるとすぐ地元の年金事務所に行った。

「私の年金は70万円弱しかありません。何でも若いころに未加入の期間があるからとのことですが、夫に聞くとそれが今からでも挽回できるというのです」

 Aさんが利用するのは、国民年金の「任意加入」という制度。保険料を支払う必要はあるが、加入すると将来の年金は確実に増える。

 Aさんがしみじみ言う。

「毎年来る『ねんきん定期便』を見ては『少ないなあ』と思っていたんです。少しは良くなるみたいですが、いったい、どこまで増えるのか……。世の中、本当に知らないことが多い」

 Aさんの言うとおり、世の中は知らないことだらけだ。そして、知らないと「損」をすることが多い。年金の世界では、奇しくもAさんのような「専業主婦」が格好の事例になる。現在、年金世代に差しかかっている女性の多くが若いころに未加入の期間があるからだ。

 Aさんは「任意加入」を利用したが、実はほかにも年金を増やせる仕組みがあり、上手に利用すれば60代の10年で相当、年金額を増やせる。おおむね50代以上の専業主婦にあてはまる「年金増額策」を探ってみよう。

 この世代の専業主婦は、同じような「人生パターン」を生きてきた人が多い。短大か大学へ進学→就職→数年後、会社員の男性との結婚で寿退社→専業主婦、である。

 多くの人が未加入の期間があるとしたのは、国の制度による。1991年3月までは、学生は20歳になっても国民年金に強制加入ではなかったのだ。加入は任意だったから、未加入が圧倒的多数派。したがって、大抵の人は「2年」ほど未加入期間がある。浪人していればそれが「3年」などにのびる。また、その後の生き方しだいで、さらに未加入の期間が長い人もいる。

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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